堂安は決定機に絡みながらもこの日はノーゴール [写真]＝Getty Images

　日本代表は21日、FIFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選・グループB第3節で、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）代表を1－0で破った。試合後、MF堂安律（フライブルク/ドイツ）が報道陣の取材に応じ、試合を振り返った。 　試合は立ち上がりの2分、敵陣左サイド深い位置でFW上田綺世（フェイエノールト/オランダ）が粘ると、サポートしたMF田中碧（デュッセルドルフ/ドイツ）がシンプルにクロスボールを供給。ボックス右で待っていた堂安は頭で折り返したが、中央へ走り込んだMF南野拓実（モナコ/フランス）のシュートはジャストミートしなかった。 　それでも、セカンドボールを拾った堂安は相手を引き付けてボックス後方のスペースへ折り返すと、走り込んだ田中が右足で狙い澄ました一撃を叩き込む。堂安は「拓実くんが決めてくれるかなと思っていたのですが」と本音を明かしつつも、「ボールがこぼれてきた時、相手のDF陣が下がっていることはわかっていました。碧がいることまでは見えていなかったですが、あそこに落とせば誰かいるだろうと、信じて蹴りました」と自身のアシストシーンを振り返った。 　田中のゴールで幸先良く1点をリードした日本代表は、その後も堂安、上田、FW前田大然（セルティック/スコットランド）らがゴールを脅かす場面を作るなど、主導権を握って前半を進める。「対戦相手がガツガツ来ることもわかっていた中で、前半の入りは比較的良かったと思います」と話した堂安は、「相手にプレッシャーもかけさせないくらい去なしながら、チャンスも作れていました」と前半は優勢だったと主張する。 　だが、次の1点がなかなか生まれなかった。堂安自身も、前半の終盤に南野からのパスに抜け出し、GKと1対1のチャンスを迎えたが、決め切ることはできなかった。「拓実くんから素晴らしいボールが来て、ファーストタッチもうまくいった。まだ見返してないのでわからない部分もあるのですが、シュートが甘かったのか、GKのファインセーブなのか、それとも浮かせるアイデアがあって良かったのか、この後確認したいと思います」とチャンスシーンに言及。「自分が決めていれば、後半はもっと楽な展開になったことは間違いない。そこに関してはチームに迷惑をかけましたし、反省もしています」とストレートに語った。 　もっとも、前半は堂安が攻撃の中心に君臨し、良い形でボールを受けながらチャンスが生まれる場面も少なくはなかった。「前半やっていて調子の良い感じはあったので、あまり考えすぎることもなく、球離れも良かったと思います」と、自身もコンディション面に手応えを感じていた模様だ。それだけに、「あとは本当に点を取るだけでした」と、追加点を挙げられなかったことへの悔しさを露わにした。 　後半に入ると、ロングボールを多用してきた北朝鮮代表の攻撃に手を焼くシーンも増えていき、押し込まれる時間帯も作られる。「相手の監督が喝を入れたのか、目の色を変えて戦ってきました」と堂安が語った通り、後半立ち上がりにはポスト直撃のシュートも放たれるなど、ヒヤヒヤするシーンも多かった。 　後半、思い通りの試合運びができなかった背景について、堂安はチームとしての“意識”があったと語る。「奪った後、縦パスを狙って崩していこうという意図がチームとしてありました。一方、相手は人に対しては厳しく来るので、前半は縦パスを入れなくても（菅原）由勢のところで起点を作れることも多かった。後半も、もっと徹底的にやっても良かったのかなとは思います。無理やり縦パスを差し込むことを意識しすぎてしまった。相手のやり方にハマってしまったかなと思います」 　なかなかうまくいかない日本代表は、74分にシステムを変更。DF谷口彰悟（アル・ラーヤン/カタール）をピッチへ送り出し、5バックの形へシフトした。堂安はこの交代の場面で、ベンチに下がっていたが、「5バックにしてからは楽に対応できて、選手たちの中でも手応えがありました」と印象を語る。「DF陣も、あれはかなり楽になったと言っていました」と明かしたが、その背景には、AFCアジアカップカタール2023・準々決勝のイラン代表戦（●1－2）で、相手の圧力に押し込まれながらも形を変えられなかったという、チーム全体での反省があったという。「失敗から学んだ場面だった思います」と話した。 　最終的には立ち上がりに田中が挙げたゴールが決勝弾となり、1－0でタイムアップ。後半はなかなか思い通りにいかず、追加点も奪えなかったが、苦しみながらも日本代表は3連勝を飾った。「臨機応変に対応できたのはポジティブでしたが、もっとシンプルにやれば去なせるシーンもあった」と全体を総括した堂安は、この北朝鮮代表戦を「良いところも悪いところも双方出たと思います」と語っている。 　この後、日本代表は26日に北朝鮮代表とのリターンマッチに臨むが、当初の開催地であった平壌開催が急きょ中止に。直前のため第三国での調整も難しく、現時点で開催地は未定。日本代表は今後、国内で調整を続けつつ、国際サッカー連盟（FIFA）の決定を待つことになる。 　試合直前でのトラブルということもあって選手としては難しい心境であることに疑いの余地はないが、堂安は「どうなってもおかしくないとは思っていましたし、僕たち選手はしっかりリカバリーをして待つだけです」と力強く発言。まずはピッチ上でできることに集中していくつもりだ。