【アメフト】「甲子園の星」元関学大のQB奥野耕世が、初めて東京のチームでプレーする理由とは
5月11・12日に1回戦4試合が行われたアメリカンフットボール・Xリーグ「X1 エリア」の「ジュニアパールボウルトーナメント」。 12日の電通キャタピラーズ対三菱商事クラブトライアックスの一戦では、電通のあるQBの登場に、場内が沸いた。 先発QBとして甲子園ボウルで3戦全勝、大学生の年間最優秀選手賞・ミルズ杯に2度輝いた、元関西学院大ファイターズの奥野耕世だ。 電通キャタピラーズ ○12-3● 三菱商事 クラブトライアックス (2024年5月12日、富士通スタジアム川崎)
自己評価は「30点です」
見せ場は、最終盤に訪れた。 トライアックスゴール前5ヤード、3rd&ゴール。第4クオーター残り1分を切っていた。スコアは5-3、電通のリードは2点。トライアックスのタイムアウトは1回残っていた。 この3rdダウンが止められてしまえば、仮にフィールドゴール(FG)を決めて5点差としても、理屈の上では、トライアックスに逆転の可能性が残る。 勝利を確実にするためには、この3rdダウンで、タッチダウン(TD)を奪わなければならなかった。 QB奥野は、エンドゾーン左奥に走り込んだWR中谷建司にハイボールをデリバリーした。 168センチと小柄だが、運動能力の高い中谷は、ジャンプの頂点で、マンツーマンカバーに負けずボールをキャッチ。TDとなった。エクストラポイントのキックも決まって9点差となり、勝負は決した。 勝利には7点が必要な場面で、TDパスを決める。QBとしての最も重要なミッションを、今季初戦であっさり決めた奥野。流石という他なかった。 第3Q途中からの出場で、プレー機会は試合の半分以下だった。パス9/12、111ヤード・1TDは、パフォーマンスとしては決して悪くはない。だが奥野は「全然ダメですね。30点です」とそっけなかった。 3回のパス失敗の中で、2本がインターセプトだったからだ。 特に2本目のインターセプトは、最後のTDと同じ、相手エンドゾーンまで5ヤードのシチュエーションだった。WR河波正樹を狙ったTDパスは、前に入り込んだトライアックスDB金本祐磨によって完璧にボールを奪われた。 「レシーバーとのコミュニケーションが取れていなかった」と奥野は振り返った。プレーリード的にも投げてはいけないパスだったという。