認知症の女性宅から保護した目ヤニ&鼻水だらけの4匹の子猫…「幸せな激変」の姿
保健所やセンターのほかにも、多頭飼育問題の現場から救出された保護犬猫を預かり、世話をし、里親を探す動物支援団体「ワタシニデキルコト」。 代表の坂上知枝さんに保護活動の実態や保護犬・保護猫とのエピソードをインタビューし、ライターの長谷川あやさんが綴る連載の後編。 【写真】4兄弟の中でもっとも健康状態が悪かったすあげも病院で治療を受けて回復 前編「86歳で認知症状がみられる独居の女性が飼っていた…多頭飼育崩壊の様々な『要因』」では、認知症のある86歳の高齢者の家から、健康状態の悪い7匹の仔猫が保護された。遠方に住んでいた息子さんは問題発覚後、こうしたケースでは珍しく、自身で保護し、里親を探すと申し出たが、所管地域の推進員さんから経験のない息子さんには無理と判断。ワタデキがうち4匹を引き取った。
猫風邪で鼻水まみれの4匹は
認知症状が見られる86歳の独居女性の家で、餌付けされていた猫が生んだ仔猫たち。 動物愛護センターに連絡があった際は、状態はかなり悪く、7匹のうち1匹は死亡。うち4匹は坂上知枝さんが代表を務める動物支援団体「ワタシニデキルコト」に引き取られ、現在は里親の元で幸せに暮らしている。 坂上さんが小さな4匹に着けた名前は、すあげ、からあげ、フリッター、てんぷら。てんぷらだけが女の仔だ。 「今度、多頭で猫が来たら、揚げ物シリーズにしようと長女と盛り上がっていたので、『今じゃない? 』と(笑)。5匹だったらフライかカツの予定でした」(坂上さん、以下同) 坂上さんの家に来た段階で、生後およそ1か月半。 「4匹とも体重は400g台。ガリガリでしたが、覚悟していたよりは状態は良く安心しました。 とはいえ、みんな猫風邪を患っていて、目やに、くしゃみ、鼻水まみれ。子猫ってすぐに体調を崩すんです。この仔たちもちょっと良くなったと安心した2日後にはまた目やに鼻水が出てミルクも飲めなくなる、といった繰り返し。何度も病院に駆け込み、投薬や目薬をさし、シリンジでミルクや離乳食を食べさせた大切な仔です。 特にすあげは、一時期、大きく体調を崩し、心配な状態に。でもすっかり持ち直してくれました。 揚げ物たちはみんな華奢ですが、よく食べ、よく遊びました。 我が家に来て2週間もすると、家の中をかけまわり、いろんなものを破壊するように(笑)。あのひ弱達がここまで元気になってくれてただただうれしかったです。 好奇心旺盛、食欲旺盛なからあげ、負けず嫌いで運動神経抜群なすあげ、犬とも仲良しで穏やかなフリッター、静かに抱っこをせがむてんぷらと、だんだんと個性も見えてきました」 しばらくして、「どの子も選べないので相性のいい2匹をうちの子に」と里親の申し出がある。