「私は女の子が好きだから」写真家・珠かな子さんが語る「大乱闘スマッシュファミリー」と人生
写真家として活動する珠かな子さん(36)の家族の物語は、曽祖父の代までさかのぼって始まった。曽祖父は妻と子どもを家から追い出したという。祖父は師匠の娘と結婚したというが……。現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。(※前編から続く) 【写真】「人生は自分のもの」と語る写真家・珠かな子さん * * * ■セルフネグレクトで死亡 「祖父は、おそらく昔から不倫をしていたんだと思います。祖母は姉さん女房で、人とかかわるのが難しい性格だったみたい。自分が糖尿病になったら『私の面倒は見るな』と言って、祖父を家から追い出してしまったんです」 もっとも、祖父母の家と、両親の住むかな子さんが育った家は、一軒家の連なる長屋だった。祖母は隣に住んでいたが、人から面倒を見られることを最期まで拒否し、ある日ひっそりと亡くなっていたという。 一方の追い出された祖父は、その後すぐに2人の彼女を作り、土日に会う彼女と平日に会う彼女に分けて、家を行き来していたらしい。だが、しばらくすると、自分以外にも女性がいることを知った土日彼女が離れていき、ついで平日彼女も入院した。祖父は、老齢になって一人ぼっちになったのだ。 「そしたら一人じゃ何もできないし、病院も行かない。体調を爆速で悪化させて、本当に1カ月以内に死んだんです」 かな子さんの父が生活に必要な食料を届けるなどしていたが、買ってあげた電子レンジは開封すらされていなかったという。 「私は『セルフネグレクト死亡じじい』って呼んでる。ひ孫も懐いていたのに、そんなことお構いなしで『自分で自分の世話するくらいなら死んだほうがマシ』ってすごいですよね。祖父は自分が大好きな人で、自分の話と昔話しかしないし、家族に対しても、そこそこ愛着はあっても関心はないんですよ。孫である私に対しても、『可愛い』という考えはまずなかったと思う」 ■「男がすっごい偉そう」 その息子であるかな子さんの父は、元々酒浸りだったが、祖父の死にショックを受けてさらに酒浸りになり、老人性鬱のような状態になったが、やはり病院へは行かなかった。あげく家で大暴れし、一家大乱闘が起こったという。 かな子さんは、笑いながら言う。 「『大乱闘スマッシュファミリー』って呼んでいます。うちの家系は、男がすっごい偉そうなんですよ。『誰が飯食わしてやってると思うんだ』とか『誰の家に住んでるんや』とか『女はバカだ!』とか言って、ふんぞり返って、女を見下していて、そのくせセルフネグレクトで自分のことは何もできない。何を根拠に、あんなに自分が偉いと思えるんだろう」