【保険の見直し・種類で異なる考え方】医療保険は解約しても公的制度でカバー可能、生命保険は相続での活用法を検討
もしもの備えとして加入している「保険」は見直す余地が大きい。ファイナンシャルプランナー(FP)の辻本由香氏が語る。
「基本的にがん保険以外の医療保険は解約していい。特に75歳以降は後期高齢者医療制度が始まり、医療費の自己負担は原則1割です。75歳未満でも高額療養費制度により、一般的な医療費の自己負担は月10万円以内に抑えられます。また、通院や入院で年間にかかるお金も確定申告で医療費控除の対象となる10万円以下の人が多い。それでも心配なら、必要最低限の保障で十分です」 近年は「70歳からでも加入可能」の医療保険が続々と出てきているが、「公的医療制度を考えると新規加入は慎重に」とファイナンシャルプランナーの鴇巣雅一氏は言う。 「検討の余地があるとすれば、がんの自由診療費用の特約を月額数百円程度で用意できる商品ぐらいでしょう」
生命保険は契約の仕方によって税の名目を変えられる
一方、被保険者の死亡時に死亡保険金を受け取れる生命保険はどうか。鴇巣氏が語る。 「生命保険は税制上もメリットがあるので、活用の仕方によって便利です。契約の仕方によって税の名目を変えられる点が大きい。被保険者が死亡した際、保険料の負担者と死亡保険金の受取人が同一人物だと『所得税』になり、被保険者自身が保険料を負担して法定相続人が保険金を受け取る場合は『相続税』に換算される。被保険者、負担者、受取人がすべて異なるなら、『贈与税』の対象となります」
事前に契約の仕方を工夫することで、節税も可能なのだ。鴇巣氏は相続税での活用例を挙げる。 「生命保険の死亡保険金は『500万円×法定相続人』が非課税です。相続人が配偶者と子2人なら1500万円まで相続税がかかりません。現金で1500万円残すより、生命保険なら非課税になるメリットがある。 相続人が何人かいて相続財産が不動産に偏っている場合、生命保険を他の相続人に残すことで不動産を売却せずに“争続”を避けられるという使い方もあります。また、葬式や墓の費用を保険金から捻出してもらうなど、使い方に幅を持たせることができる」 医療保険は見直し、生命保険は活用の余地ありと覚えておこう。 ※週刊ポスト2025年1月3・10日号