「太田」と「大田」どちらが多い名字でしょうか【名字365】
太田・大田(おおた)
「太田」という名字は全国名字ランキングで45位というメジャーな名字にもかかわらず、都道府県単位でみると青森県の22位が最高で、20位以内に入っている都道府県は1つもありません。 その一方、沖縄県も含めて「太田」があまりないという都道府県もありません。都道府県単位で300位までに入っていないのは鹿児島県と愛媛県だけで、実はこの両県では点のない「大田」の方が多いのです。 「太田」と「大田」には意味の違いはなく、ともに「大きい田んぼ」に因んでいます。 そもそも「おお~」という名字はたくさんありますが、そのほとんどは「大~」と書き「太~」と書くのは少ないのです。 「おおた」も古い時代には「大田」と書き、紀伊国(現在の和歌山県)や美濃国(現在の岐阜県)には、点のない「大田」氏という古代豪族がいました。 しかし、中世に京都府亀岡市の「太田」地名をルーツとする武家の太田氏が活躍して以降、「おおた」は「太田」と書くのが常識になってしまったのです。 今では、「おおた」の9割近くが点のある「太田」と書きます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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