紀子さまは涙を拭いたティッシュを「私が預かります」と受け取った。映画監督が舞台挨拶で体験した感動のエピソード
12月1日に封切られたドキュメンタリー映画『グリーフケアの時代に』。初日には秋篠宮皇嗣妃殿下紀子さまが臨席されました。舞台挨拶を終えた中村裕監督にお話を伺いました。 【画像】悲しみをかかえる出演者たちの背後には
「映画初日に紀子さまがお越しになる」と5日ほど前に連絡が。そこから大騒ぎに
映画『グリーフケアの時代に』封切り上映。写真前列左から、中村裕監督、秋篠宮皇嗣妃殿下紀子さま、音無美紀子さん。 自分が前に出る仕事ではないドキュメンタリーディレクターにとって、そもそも映画の舞台挨拶は心理負荷の高い瞬間なのだそうです。さらに今回は初日に皇族のご臨席を仰ぐと聞き、この上なく緊張したと語る中村さん。 「初日の5日前くらいに、妃殿下がご覧になりますと連絡をいただいて。そこから大騒ぎになりました。何を話せばいい? 服は何を着る? 髪は切ったほうが? でも当日はごくごく普通の映画の初日でした。紀子さまも一般客といっしょの席。ご入場の際にはアナウンスがありました」 上映後、舞台挨拶が終わってから別室へ移動し、中村監督、ナレーションの音無美紀子さん、プロデューサーの益田祐美子さん、音楽の日景健貴さんのほか、作中に登場した附属池田小児童殺傷事件遺族・本郷由美子さんと、日本グリーフ専門士協会代表理事の井手敏郎さんに紀子さまからご質問がありました。 「10分ほどの予定でしたが、結局立ち話のまま30分近くご質問をいただきました。紀子さまは社会心理学の研究を続けておいでですから、グリーフケアというテーマそのものに興味をお持ちなのかな、と感じました。この映画もご自身でご覧になるとお決めになったのではと」 というのも、想定外なことに、ナレーションはどなたがお書きになったのですか、どうやって画像に合わせて読むのですかと、具体的な作成プロセスについてのお尋ねがあったのだそうです。 「書いたのはぼくです。台本があって、タイムがきたらぼくがボタンを押すと、音無さんが読んでいる別室でランプが光ります。ナレーションはそう録るんです、とお話ししたら、興味を持たれていたようでした。どのように映画を作ったのか、どのような気持ちだったかなど、作り方と背景の部分にまで話が及びました」 もうひとつ、映画をご覧になる紀子さまの印象的なエピソードがありました。