35歳俳優「あざとカワイイ」イメージはもうない?話題の新ドラマで見せた“生々しい表情”とは
杉咲花主演の『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ・フジテレビ、毎週月曜日よる10時放送、以下、『アンメット』)で救急部長を演じる千葉雄大がかなり評判である。 実際に見てみると、千葉の演技がいいとかそれ以上の感慨深さがある。現在35歳。彼のキャリア全体を見渡しながら本作の演技を見つめると、どんなことが見えるだろう? イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、“栄光のキャリア”を更新する千葉雄大を解説する。
忘れられない11年前の姿
千葉雄大を初めて見たときに感じたときめきは今でもはっきり覚えている。もう11年も前のこと。あれは、テレビドラマ史上初のディズニーシー・ロケが敢行された特別ドラマ『恋するイヴ』(日本テレビ、2013年)だった。 溝端淳平主演の同作で千葉は配達員を演じた。赤を基調にした制服。白と赤の帽子をちょっと上向きにして被り、前髪を強調するやんちゃな愛らしさ。そしてクリスマスイブの一夜に、彼がせっせと運び込むものの温かな手触り……。 あぁ、この人が千葉雄大なんだな。出番はそこまで多くはないが、あんなチャーミングな人を記憶しないわけにいかない。 自分のことを初めて見る視聴者を想定して、ちゃんと名前と顔を覚えてもらうために存在感を主張している。まだ“主演級前夜”だった彼の名刺代わりの出演作だった。
「イケメン」という一言に尽きる
輝く逸材が放っておかれるはずがない。事実、2015年公開の『通学シリーズ 通学電車』は、タイトル通り、通学途中の電車で高校生を演じる千葉雄大と観客が決定的に遭遇する体験ではなかったか。 公開劇場のスクリーンでその甘やかな遭遇を享受したひとりだった筆者は、これまでイケメン研究をライフワークとしてきたが、千葉雄大こそまさに「イケメン」という一言に尽きる存在だと思った。 このカタカナ四文字の軽い響きは、そのまま千葉の軽妙な演技を定義してもいる。一方、イケメンがインフレ状態にあるともいえる現代で、筆頭に位置づける彼がその後、俳優としてどのように生き残るのかという不安を禁じ得なかったのもまた事実である。