1-3月期実質GDP成長率+2.2%は“高成長”と断言 その根拠は?
18日に発表された日本の実質国内総生産(GDP)成長率(1-3月期)は前期比年率+2.2%と市場予想(+1.7%)を上回り、5四半期連続のプラス成長を達成しました。項目別にみると個人消費(前期比年率+1.4%、同寄与度+0.8%)、純輸出(寄与度+0.6%)、設備投資 (前期比年率+0.9%、寄与度+0.1%)、住宅投資(前期比年率+3.0%、同寄与度+0.1%)と主要項目の大半がプラス成長でした。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
1-3月期の実質GDP成長率は+2.2%という“高成長”
個人消費は昨年10-12月期が精彩を欠く内容だったことを踏まえると、そこからの反発力には物足りなさを感じますが、それでも生鮮野菜の価格が落ち着く中で、まずまずの増加を遂げたと評価してよいでしょう。 次に純輸出(輸出-輸入)に目を向けると、こちらは引き続き海外経済の強さが確認できます。米国向けは伸び悩んだものの、アジア向けが好調で、海外経済の成長を上手く取り込んだと言えるでしょう。 そして設備投資は前期比年率+0.9%と一見すると低い伸びでしたが、これは10-12月期に+7.6%という高い伸びを記録した反動であり、2四半期連続のプラス成長は好感されるべき結果です。生産、輸出が回復するなかで製造業企業が生産能力の増強に前向きになっているとみられるほか、非製造業で人手不足による生産低下を補うための省力化投資が活発化しているものと思われます。 このように個人消費、純輸出、設備投資が揃ってプラス成長となったことで1-3月期の実質GDP成長率は+2.2%という“高成長”となりました。
筆者はこの+2.2%を高成長と受け止めていますが、何を基準に“高成長”と判断したかというと、それは「潜在成長率」です。この潜在成長率は平たく言うと“実力ベースの成長率”“合格ラインの成長率”といった表現が当てはまり、現在のそれは0.5%~1%くらいと計算されています。つまり+2.2という成長率は潜在成長率を上回っているわけですから客観的な基準から判断して合理的に「強い」と表現して問題ない数字なのです。 こうした状況下では人々の景況感も上向きます。それを裏付けるように、最近はタクシードライバー、小売店の店員といった景気に敏感な人々を調査対象にした景気ウォッチャー調査の数値が上向いているほか、消費者マインドも上向き基調が確認されています。このように、景気の強さを判断する時は、成長率の数値を単純にみるのではなく、潜在成長率と比較することが重要になります。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。