激動の女子フィギュア界がロシア4回転旋風で3極化へ
フィギュアスケートのグランプリ・ファイナル(イタリア・トリノ)の女子シングルでは、今季シニア転向したロシアの3人が表彰台を独占、女子フィギュア界に衝撃を与えた。日本人でただ一人出場した紀平梨花(17、関大KFSC)は4回転サルコーに挑戦したが転倒、惜しくも4位に終わった。ここまでの女子フィギュア界の流れを総括して、元全日本2位で、現在、福岡で後進を指導している中庭健介氏は、「女子のフィギュア界は3極化に向かっている」という。 「グランプリ・ファイナルで明らかになったのは(1)4回転を武器にして技術点で勝負するグループ、(2)演技構成点を前面に出す完成度で勝負するグループ、そして(3)トリプルアクセルで得る技術点と演技構成点の両方をミックスした総合型で勝負するグループの3つにハッキリと世界のフィギュアの流れが分かれ、3極化したということです」 中庭氏の考える分類の(1)に属するのは、GPファイナルで2位に入ったアンナ・シェルバコワ(15、ロシア)と、3位のアレクサンドラ・トルソワ(15、ロシア)の4回転コンビだ。シェルバコワは3本の4回転を組み込み、初挑戦のフリップは失敗したが、冒頭の4回転ルッツ+3回転トゥループを成功させるなど4回転ルッツは2本決めてSP3位から2位に食い込んだ。フリー 162.65のうち技術点は94.52(85.78が基礎点)である。 3位のトルソワは、4回転フリップ、ルッツ、サルコー、トゥループの4種類5本の4回転ジャンプに挑戦した。冒頭の4回転フリップに成功、4回転サルコーは抜け、単独の4回転トゥループでは転倒したが、初めて4回転トゥループからの3連続ジャンプは決めて、5本中3本を成功させた。彼女は、フリー 161.73で技術点はシェルバコワの上をいく 96.80(基礎点は83.00)だった。 優勝したアリョーナ・コストルナヤ(16)でも技術点は88.87、基礎点は69.55しかなく、紀平も同様、77.80と71.75に留まり、基礎点の段階で約10点から13点ほど引き離されてしまうのだ。