不運すぎる1勝も…巨人24歳の“衝撃の1か月” 傑出した貢献度、魔球で築いた「8.72」
1勝止まりもチームに大きく貢献した戸郷
投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す「RSAA」を用いる。上位ランキングは以下の通りだった。 ○戸郷翔征(巨人):RSAA4.80、登板5、イニング32、防御率1.97、WHIP1.00、奪三振率8.72、奪空振率21.2%、HQS率60% ○村上頌樹(阪神):RSAA3.85、登板5、イニング34、防御率1.06、WHIP0.94、奪三振率7.41、奪空振率20.9%、HQS率80% ○R.マルティネス(中日):RSAA3.72、登板12、イニング12、防御率0.00、WHIP0.42、奪三振率7.50、奪空振率34.6% ○バルドナード(巨人):RSAA3.63、登板13、イニング12回2/3、防御率0.00、WHIP0.87、奪三振率12.08、奪空振率28.8% ○清水達也(中日):RSAA3.34、登板11、イニング10回2/3、防御率0.00、WHIP0.75、奪三振率10.13、奪空振率29.4% 上記ランキングに掲載されていない球団のRSAA上位選手は以下の通り。 ○黒原拓未(広島):RSAA2.26、登板7、イニング12回1/3、防御率1.46、WHIP0.89、奪三振率9.49、奪空振率27.0% ○小澤怜史(ヤクルト):RSAA1.96、登板4、イニング22、防御率2.45、WHIP1.27、奪三振率7.36、奪空振率16.1% ○東克樹(DeNA):RSAA1.40、登板5、イニング33、防御率2.73、WHIP1.18、奪三振率6.55、奪空振率18.2%、HQS率40% 最もチームに貢献した成績を残した投手は戸郷。今年の開幕投手ということもあり、対戦相手もエース級の投手となるため援護点に恵まれず、勝ち星は1勝止まりだったがHQS3試合を含むQS4試合、与四球4、K/BB7.75とコントロールの良さと安定感を示した。 決め球のフォークのキレもよく、奪三振率はリーグ規定投球回以上の投手で2位の8.72であり、20%以上の割合で空振りを取っている。以上よりセイバー指標で選ぶ3・4月の月間MVPに戸郷を推薦する。 鳥越規央 プロフィール 統計学者/江戸川大学客員教授 「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。
鳥越規央 / Norio Torigoe