「戻ってよかった」 “出戻り転職”3つのメリットとデメリット 50代の「出戻り」が歓迎されたのには理由がある
と元後輩に指摘されると、居心地が悪くなるかもしれない。転職していた先が最新のITツールを導入していなかったら、環境変化についていけない可能性が余計に高い。 出戻り転職に限らず、デジタルリテラシーを高めておくことは必須なので、謙虚な気持ちで新しいシステムやツールに慣れ、使い方を覚えるようにしよう。 中でも、出戻り社員が最も面食らうのは「人間関係の変化」かもしれない。以前と同じような人間関係を期待する人もいるが、あまり期待しないほうがいい。4年、5年も離れていれば、以前の部下や同期が上司になっているケースも多い。
「おい、お前が課長かよ! 出世したなあ! 昔は俺が面倒を見てやったのに」 などとマウントをとるようなことはご法度。新入社員と同じとは言わないが、過剰なほど謙虚な姿勢で出戻るぐらいでちょうどいい。頭角を現すのは、職場に馴染んでからでいいのだ。 ■50代の出戻り社員が大成功した事例 ここで、50代で出戻り転職し、大成功を収めたDさんの事例を紹介しよう。 Dさん(52歳)は大手製造業で24年勤務したあと、47歳で退職。ベンチャー企業で5年間、新規事業の立ち上げに携わった。その経験を買われ、52歳で元の会社に出戻った。
「50歳を超えたら、一気に転職先の幅が縮まる。まさか出戻りさせてもらえるとは思わなかった」 とDさんは胸をなでおろす。「出戻り採用」を決めたのは、以前の部下だ。この部下はDさんに仕事を教えられ、部長にまで上りつめた。いつか恩返ししたいと心に決めていたため、 「可能なら、前の職場に戻りたい」 とDさんから申し出があったとき、二つ返事でOKを出した。それどころか、彼自身もかねての念願がかなったと喜んだ。このケースは、まさにウィンウィンだったといえよう。
Dさんの成功の秘訣は以下の3点だ。 (1)良好な人間関係の維持 出戻り転職には、何よりこれが最も大事だ。Dさんは退職後もずっと前職の人間関係を大切にしてきた。かつての後輩から「相談があります」と言われたら喜んで駆けつけた。忘年会には呼ばれなくても、 「今から2次会があります。顔を出しませんか?」 と誘われたら、遅い時間でも足を運んだ。家族ぐるみで休日を過ごしたこともある。離職していた5年間、1年に2~3回のペースでコンタクトをとり続けた。このように、関係を維持し続けたことがとても大きいだろう。