筑陽学園、終盤集中打 投手陣の粘りに奮起、初の8強 /福岡
<センバツ甲子園> 第91回選抜高校野球大会第7日の29日、2回戦で筑陽学園は3-2で山梨学院(山梨)を降し、8強入りを決めた。終盤の集中打で突き放し、守備では投手3人を継投させる総力戦で臨み、五、八、九回と3度の満塁のピンチを最少失点で切り抜けて接戦を制した。準々決勝は大会第9日第3試合(31日午後1時半予定)で、広陵(広島)と東邦(愛知)の勝者と対戦する。【宗岡敬介、隈元悠太】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ▽2回戦 筑陽学園 100000110=3 100000010=2 山梨学院 初戦で大会タイ記録の24安打を放った強力打線の山梨学院に、筑陽学園は「3本の矢」の西雄大、菅井一輝、西舘昂汰の3年生3投手の継投で臨んだ。 試合は初回から動いた。2死一塁から、江原佑哉主将(3年)の打球を相手左翼手が後ろにそらす間に福島悠介選手(同)が一気に生還し先制。江原主将の母章子さん(50)は「ほっとしました」。 その裏、同点にされたが、西投手は力投を続けた。四回に2三振を奪うと、母昌世さん(43)は「今朝『頑張ってくるぜ』とラインがあった。大勢の応援に応えられて良かった」と目を潤ませた。 五回裏、1死二塁から2ボールの場面で菅井投手に継投。四球になり初戦で2本塁打を放った野村健太選手(3年)を迎えると、すぐに交代した西舘投手が空振り三振に打ち取り、ピンチを切り抜けた。西舘投手の母祐三子さん(51)は「息ができません。一つ一つ丁寧に投げて」とマウンドを見つめた。 投手陣の粘りに打撃が応えたのは七回。福岡大真選手(同)が高めの直球を右中間にはじき返す二塁打で出塁し、石川湧喜選手(同)が左前打でつなぐ。続く中村敢晴選手(2年)は「バットを小指1本分短く持った」と今大会初ヒットで勝ち越した。八回にも福岡選手の適時打で突き放した。1994年夏の甲子園で準優勝した樟南(鹿児島)のエースだった福岡選手の父真一郎さん(42)は「楽しんでプレーしているように見える」。 八回裏に1点差とされ、九回裏も2死満塁のピンチを迎えたが、相手打者を打ち取り、アルプススタンドは歓喜に包まれた。初出場での8強進出に、野球部の香川泰輝選手(3年)は「みんなの気持ちが一つになった結果」と喜んだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇先輩たちの活躍 小2球児が声援 ○…筑陽学園の三塁側アルプススタンドでは野球部員に交ざり、同じユニホームの小学生が声をからした。熊本県山鹿市の菊鹿小2年、平金里彪(りあ)さん(8)。所属する野球クラブの先輩が、今春の卒業まで筑陽学園野球部に在籍した縁で、初戦に続き母親らと応援に駆けつけた。九州大会も観戦した平金さんは「進藤捕手が3人の投手をリードしてすごい。将来は筑陽学園に行って甲子園に出たい」と先輩の活躍に目を輝かせた。 〔福岡都市圏版〕