かみのけ座、かんむり座、からす座 見つけられたらうれしい小さな星座たち
街中で見かける黒い鳥の星座
北斗七星からたどる、春の大曲線。おとめ座の一等星スピカが終点かと思われますが、実はもっと伸ばすと小さな四角形を見つけることができます。それが「からす座」。鳥のからすも星座になっていたのですね。そしてからす座には、とても納得のいくお話があります。 太陽の神アポロンの使いの鳥であるからすは、元々は純白で人間の言葉を話していました。一見、お利口に見える使いのからすですが、実はおしゃべりで嘘つきという欠点がありました。ある日のこと、アポロンの恋人コロニスと遠距離になってしまい、それを心配したアポロンがからすを使いとし、毎日様子を伝えてもらうことにしました。 そんなある日、コロニスは実の兄と会っていたにも関わらず、からすは自分の道草のせいで遅くなったことの言い訳に「コロニスがほかの男と浮気をしていた」と嘘をついたのです。 それを聞いたアポロンは急いでコロニスのもとへと行きました。あまりにも頭に血がのぼっていたアポロンは、怪しい人影を見つけた途端に矢を放ちました。すると、その矢が当たっていたのは愛するコロニスだったのです。後にそれがからすの嘘だということがわかり、アポロンはからすの体を真っ黒にし、さらに醜い声へと変えてしまいました。そして嘘つきの見せしめのために天に上げ、4つの釘で打ちつけました。からすの姿は夜空の黒に溶け込み、4つの釘だけが輝いて見えているというわけだったのです。 私はこの物語を聞いて、現代の賢いカラスを見ても納得のいくお話しだと感じました。夜空のカラスを見つけたら、嘘をついてはいけないのだと思って見て下さい。 次回からは、夏の星座をご紹介していきます。まずは最近、夜遅い時間帯に見えている七夕の織姫星をご案内しましょう。 (葛飾区郷土と天文の博物館・湯澤真実)