【今月行くべき展覧会】松涛美術館『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』
注目の展覧会を厳選してお届けする本企画。今回は『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容』の見どころを紹介する 【写真】1月のおすすめ展覧会3選
『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』
シュルレアリスム等の新しい芸術運動を受けて、1930年代、日本で前衛写真が流行したさなかに設立された「前衛写真協会」。 本展は、その中心人物でありシュルレアリスムを日本に紹介した美術評論家の瀧口修造と、絵画と写真の分野で活躍した阿部展也にはじまり、瀧口と阿部に大きな影響を受けた写真家の大辻清司、また専門学校時代の大辻の教え子であった牛腸茂雄の4人にフォーカスし、日本における前衛写真とその変容の一片をつまびらかにする。 とりわけ興味深いのが、瀧口と牛腸の関係。牛腸は直接、瀧口から薫陶を受けたわけではないが、本展の出展作品にもなっている牛腸の代表シリーズ『SELF AND OTHERS』や『見慣れた街の中で』、またその後彼が取り組んだ、インクブロットによる作品には、かつてシュルレアリストが探求した「無意識」(自己における他者)の表現、あるいは精神分析学の影響も見てとれる。
『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』 @渋谷区立松濤美術館 2月4日(日)まで BY MASANOBU MATSUMOTO, EDITED BY T JAPAN