吹き荒れる、Jリーグ金沢旋風! 見えてきた昇格チームの現状と課題とは
J2で吹き荒れる、金沢旋風!
一方、J2開幕後、大躍進を遂げているチームといえば金沢ではないだろうか。今季からJ2に昇格したチームが、まさかの首位争いを演じている(5/10現在3位)。首位を争うライバルはというと、表3―1に示すようにJ1在籍経験があるチーム。しかも金沢の選手の多くがJ2以上のリーグでの試合出場経験がほとんどない選手ばかり。躍進のカギは何だったのか。 金沢の持ち味は「堅守」「速攻」「セットプレー」の3つ。その柱とも言える「堅い守備」は、リーグ最少の20失点でJ3を優勝した堅守を誇る。高い位置に守備ラインを設定し、形成した守備ブロックで相手ボールを奪う金沢守備網が許した失点は、ここまでリーグ最少の7。その堅守はJ2でも十分通用している。また、その組織立った守備もデータとして表れている。1試合の平均ファウル数「10.5」はリーグ最少、ここまでもらった警告数もリーグで2番目に少ない「8」。つまり無駄なファウルをせず、組織的な守備網で相手攻撃陣を封じていることがうかがえる。
一方の攻撃は、包囲網で奪ったボールを少ない手数で相手ゴール前に運ぶ「速攻」が金沢スタイル。ここまで8得点を奪っている清原、水永、佐藤を中心とした攻撃陣で相手ゴールに迫り、そこで得たセットプレーで得点を量産している。全19得点のうち、ファウルで得たセットプレー(CK、FK)やPKからの得点が12点で全体の63%を占める(表3-2参照)。また、得点時間も表3-3に示すように全時間帯で得点できており、攻守において効率的な試合展開ができていることが現在の躍進の要因といえそうだ。 また、シーズン中盤に向け課題となりそうなのが選手層。ここまで全試合フルタイム出場の選手が千葉の5名に次ぐ4名。豊富な戦力を誇る千葉とは対照的な金沢にとって、長丁場のJ2を戦い抜き、なおかつ現在の順位を維持するためには選手層のさらなる底上げが必須となりそうだ。 (株)日刊編集センター