復興願い獅子勇壮 被災の阿尾、住民「元気もらった」 氷見で秋祭り本格化、活気
能登半島地震で大きな被害を受けた氷見市で14日、神社の秋祭りが本格化し、「獅子舞の里」が活気に満ちた。震災の影響で春に獅子舞の見送りを考えた阿尾地区では、青年団と少年会の約40人が練り歩き、早期復興を願って勇壮な舞を繰り広げた。エネルギッシュな若連中の結束に自宅が損傷した被災者からは「元気をもらった」との声が上がった。 阿尾地区の獅子舞は、榊(さかき)葉乎布(ばおふ)神社の祭りの一環で行われる。加賀藩前田家ゆかりの神社で、海に突き出た断崖絶壁の上にある県史跡「阿尾城跡」にある。地震では灯籠12基が倒れ、社殿を囲うガラス戸が割れた。松原政人総代(68)は「正直春先までは獅子舞はだめやと思ったけど、青年団が盛り上げたいと言ってくれた」と振り返る。 青年団と少年会は神社境内で熱の入った演舞を奉納した後、地区の約70軒を回った。地震で実家が半壊、経営するコンビニエンスストアも損傷した嶋崎忍さん(59)は若者のはつらつとした姿を見て「元気をもらった。また頑張っていかんなん」と前を向いた。 地区では自宅の半壊や一部損壊が多く、応急住宅に移った人もいる。公費解体を申請している青年団の小林真人さん(35)は「早く家を壊し、次に向けて動き出したい」と話し、獅子舞に精を出した。 阿尾の獅子舞はコロナ禍で2020、21年は実施を見送った。22年は神社での奉納演舞のみにとどめ、昨年に完全復活した。青年団によると、地域のつながりの大切さを感じた団員も多いという。 山本浩志団長(30)は「自宅に住めない人も多く、早期の復興を願っている。暑い日となったが、みんなでわいわいと獅子舞ができて良かった」と笑顔を見せた。