肉親の情や絆を捨てた陰謀飛び交う財閥家の闇 ソン・ジュンギ“ドジュン”が描く“勝利”の道<財閥家の末息子 ~Reborn Rich~>
2022年に韓国で公開されたソン・ジュンギ主演のドラマ「財閥家の末息子 ~Reborn Rich~」が、オンライン動画配信サービス「Hulu」にて全話配信中。同作は最高視聴率20%超えをマークし、JTBCドラマ初回放送の最高視聴率を記録した人気ドラマだ。第4話では、ハンド製鉄の買収に乗り出したスニャンがデヨングループと対決する。パワーシェアーズの投資家オ・セヒョン(パク・ヒョックォン)とチン・ドジュン(ソン・ジュンギ)の密会も明らかになり、チン・ヤンチョル(イ・ソンミン)から疑いの目が向く。本記事では、考察を踏まえながら第4話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】ソン・ジュンギ主演「財閥家の末息子 ~Reborn Rich~」 ■スニャン自動車の弱点…それはヤンチョルが1人しかいないこと ハンド製鉄の買収に乗り出したスニャングループとパワーシェアーズ。なぜ突然パワーシェアーズが買収に名乗りを上げたのか不可解に思ったヨンギ(ユン・ジェムン)は、オ・セヒョンの同行を確認するよう部下に命じた。 一方、自身が手掛けるスニャン自動車のレースを見るためにサーキットを訪れたヤンチョルたち。夜にはスニャン自動車の新車発表会が開かれる予定で、自社の勝利を期待しながらレースを観戦する。 そこへライバル社デヨングループのチュ・ヨンイル会長らが登場。互いの会社の欠点に触れながら、嫌味を言い合う。しかしチュ・ヨンイルは自社とスニャンの決定的な差を言い放つ。「デヨンにはヨンイルが5人(息子たち)いるが、スニャンにはヤンチョルが1人しかいない」それは、後継者たちが育っていないという、ヤンチョルも自覚している痛烈な弱点だった。 ほどなくして、デヨン社とレースで競っていたスニャン社の車はガソリンが漏れて発火。レースもリタイアとなる。そして記者に小遣いを握らせて写真を使わず、発火の原因はドライバーの運転ミスと書くように指示した…と報告したヨンギのほほを「この野郎」と叩くヤンチョル。思いつく最善の策が裏工作だったヨンギの姿に改めてデヨン社との差を痛感したヤンチョルは、怒りのあまりその場を去ってしまう。 スニャン自動車の新車発表会にも姿を見せないヤンチョル。ヤンチョル抜きで新車発表会を進めることを提案したヨンギに対し、止めに入るドジュン。なぜなら今回の新車“アテネ”は、社運を賭けたヤンチョルの力作だからだ。ヤンチョルを連れ戻すしかないスニャン一族だが、行き先にあてがなかった。 だがドジュンは知っている。自叙伝に書かれた「ヤンチョルが自動車事業で失敗する度に訪れていた」という場所へ、ヤンチョルを連れ戻しに向かう。 ドジュンが来たことに驚くヤンチョルは、はじめはドジュンに対しても「私がスニャン自動車に執着するのは金持ちの遊びだと思ってるのか?」と怒りをぶつける。しかし「スニャン自動車は、“エンジン”だと思ってます」「おじい様をここまで走らせてくれた原動力であり、エンジンです」と答えたドジュンの言葉に心を動かされ、ヤンチョルは新車発表の会場へ足を向けるのだった。 ■疑いを向けられるドジュン、しかし裏切り者はスニャン一族のなかに ある日、ドジュンについた運転手ハ・インソク(パク・ジフン)は、ドジュンがオ・セヒョンと同じビルから出てきた瞬間を目撃する。実はハ・インソクは、ヤンチョルの次男であるドンギ(チョ・ハンチョル)の指示のもとドジュンを監視していたのだ。 さらにこれまで名乗りを挙げていなかったデヨングループが、突然ハンド製鉄買収争いに加わる。なんでも、資金不足のため買収は難しいといわれていたデヨンに出資した者が出たという。 焦りを隠せないヨンギたちは、妹ファヨン(キム・シンロク)へのアポを取る。その頃ヤンチョルはドジュンがオ・セヒョンと交流を持っていることを知り、ドジュンに疑いの目を向けていた。 一方、ホテルのスイートルームで打ち合わせをおこなうドジュンとオ・セヒョンのもとへ花束が届く。偶然にもそのホテルでアルバイトをしていたソ・ミニョン(シン・ヒョンビン)が花束を部屋に届けるだが、花束に書かれていたのは「RACHEL」「HAPPY BARTHDAY TO YOU」という文字。 ドジュンが「レイチェル」という女性の誕生日パーティをして遊んでいると勘違いしたソ・ミニョンだったが、奥からオ・セヒョンが現れたため誤解はすぐに解ける。お詫び代わりなのか、レストランの招待券をドジュンに渡すというソ・ミニョン。そんなやり取りの裏、実は花束のなかでは何者かが仕掛けた盗聴器が怪しく光る…。 盗聴の主はヤンチョル。彼はドジュンが場を荒らしていた犯人なのかを知るために、オ・セヒョンを呼び出す。ハンド製鉄へ投資しているのはドジュンかと尋ねるヤンチョルに対し、オ・セヒョンは「そのとおりです。パワーシェアーズ・コリアはドジュン君の資金で運営を」と答える。 だが表情を硬くするヤンチョルに、オ・セヒョンは「しかし彼が我が社を通じて投資した先はハンド製鉄ではありません」と続けた。その投資先は“インターネットで本を売る小さな会社”カタブラで、その投資に反対したオ・セヒョンはドジュンと決裂したというのだ。 さらにオ・セヒョンは、デヨングループに投資したのはスニャン一族次男のドンギだと告白。次男ドンギの裏切りに気づいた長男ヨンギは、妹ファヨンの協力を得てなんとかハンド製鉄の買収に成功する。しかし成功の喜びとともに、7,500億ウォンの負債とファヨンの夫への政治的協力という約束を抱えてしまう。 ドジュンの狙いだったヨンギの失敗は叶わなかった。しかし場末の酒場で酒を交わすオ・セヒョンとドジュンは「おめでとう」「乾杯」と喜びに顔をほころばせ、真の計画を明かす…。 ■迫り来る経済危機…スニャンの運命はいかに 第4話ではハンド製鉄の買収を通して、スニャン一族の対立やドジュンの狙いがわかりやすく描かれていた。一時は言動を怪しまれて疑われたドジュンだったが、天の助けともいえるパートナーのフォローで見事に先回りしてみせる。 血を分けた肉親にも関わらず、互いに足を引っ張り合う兄弟。反旗を翻した者を決して許さないと言い、家族の絆を打ち捨てた争いを静観するヤンチョル。利用し、利用されるだけの血縁。見事なまでに財閥家の闇を描いた今回、泥沼のなかで情勢を読み切ったドジュンの頭脳はさすがのひと言だ。 だがまだまだ謎は隠されている。ドジュンの計略が行きつく先、謎の解明に続く道のりから目が離せない。