何を変えようとしている?自民憲法草案(9)地方自治 自治体と協力
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと、考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第9回は、第8章「地方自治」の変更点をみていきます。
地方自治の財政について明記
現憲法は第92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と書いています。 草案は「地方自治の本旨」について、「住民の参画を基本」とし、「住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う」と記載。住民は「自治体の役務の提供を等しく受ける権利」を有し、その「負担を公平に分担する義務」を負う、と加えています。 また草案は新たに、地方自治体を「基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体」を基本とすること、国及び地方自治体の協力と地方自治体の相互協力、を条文に追加。地方自治体の長、議会の議員、法律で定めるその他の公務員は自治体の住民で、日本国籍を有すること、を明記しています。 草案は「地方自治体の財政及び国の財政措置」を新設。地方自治体の経費が「地方税と自主的な財源」が基本であること、その自主的な財源だけで地方自治体が行うべき役務が提供できない場合は、国が「必要な財政上の措置を講じなければならない」こと、国同様、財政の健全性確保(草案83条2)を「地方自治についても準用する」こと、としています。 現行の95条「地方自治体にのみ適用される特別法」の表現は、草案97条で「特定の地方自治体の組織、運営若しくは権能について他の地方自治体と異なる定めをし、又は特定の地方自治体の住民にのみ義務を課し、権利を制限する特別法」に変えられています。