死ぬまで安泰のはずが…「年金37万円」「退職金4,000万円」の元国家公務員・71歳夫婦が決行した〈人生最大の英断〉→5年後、待ち受けていた「ジリ貧生活」の末路【CFPの助言】
「想定外」続きのアパート経営
それから5年ほどが過ぎた水口さんのアパート経営状態ですが、ふたを開けてみると赤字続きです。 想定よりも部屋が埋まらず、半分以上の部屋が空き室状態になっていました。また、入居が決まっても、すぐに退去する人も多く、その都度ハウスクリーニングやリフォーム費用が発生する状態です。 具体的な数字をみていくと、当初の家賃収入は640万円と試算していましたが、空室が多く、実際には400万円程度にしかなりませんでした。水口さんのアパート経営は毎月のローン返済や保険料、修繕費、固定資産税などを考慮すると年間120万円、月換算すると毎月10万円の赤字に陥っています。 水口さんはアパートの収支報告を見ながら、思わずため息をつきました。 「なんてことだ、こんなはずではなかった……」 当初は年間200万円の利益が見込めると考え、家計の赤字を補填しながら孫の教育資金や生活費を支えるつもりで始めたアパート経営。しかし現実は厳しく、空室が多いため家賃収入は試算の640万円には程遠い400万円程度。 それでもローン返済や修繕費、固定資産税などの支出は容赦なく襲いかかり、毎月の赤字は10万円にも及ぶ状況になっていました。 「これじゃ、家計が楽になるどころか、かえって負担が増えているじゃないか。孫のためと思って始めたのに、こんな結果になるなんて……」 さらに、退去後のハウスクリーニングやリフォーム費用がかさむたびに、懸命に築き上げた老後の資産が徐々に目減りしていくのを実感せざるを得ませんでした。 「営業マンの話を信じて、安易に決断してしまったのが間違いだったのか……」
アパート経営は「ビジネス」であり、安易に取り組むのは危険
アパート経営には、以下のような多くのメリットがあるのは事実です。 ・不労所得が手に入る ・節税対策になる ・生命保険の代わりになる ・インフレヘッジになる しかし、一方で、空室リスクやローンに対する金利上昇リスク、多額の負債を抱えるリスクなどをきちんと把握しておくことが大事です。不動産営業マンが甘く見積もった収支計画書だけを鵜呑みにするのではなく、自身でも収支シミュレーションを実施し、本当に実現可能な計画書なのかをきちんと調査する必要があるでしょう。 後日、このままでは老後破産してしまう、と困り果て、セカンドオピニオンとしてFPに相談した水口さん。そこで受けたのは、まさかの指摘でした。 「お母さまの土地は、最寄り駅から徒歩25分のところにあり、周りに商業施設や病院などはほとんどありません。過疎化も進んでおり、アパート経営には向いていない土地です。不動産営業マンの試算では利回り8%とされていますが、この前提は『満室稼働』が続くことを条件としています。実際には空室率が高まる可能性が高く、家賃収入が試算を大幅に下回る可能性は高いです」 思わず言葉を失う水口さんでしたが、落ち込んでいてもしょうがありません。手遅れにならないうちに策を練らねば、と気を取り直し、その後、FPと話を進めていき、結局不動産を売却することに。売却した金額は当初の期待を大きく下回り、手元に残る現金はわずかでした。水口さんは肩の荷が下りた一方で、悔しさと後悔の念を抱えることになりました。 辻本 剛士 ファイナンシャルプランナー
辻本 剛士
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