トランプ次期大統領の政策はスタグフレーションをもたらす危険性がある…著名エコノミストが警告(海外)
エコノミストのヌリエル・ルービニは、トランプの勝利によって、悲惨な経済シナリオのリスクが高まったと述べている。 トランプの政策はスタグフレーションにつながる可能性がある。これは景気後退よりもひどい状況だと専門家が訴えてきたことだ。 このようなシナリオは、インフレ率や金利の上昇、株価の下落を伴うとルービニは予測している。 ドナルド・トランプ(Donald Trump)が提案している経済政策は、アメリカ経済にとって最悪のシナリオが現実のものになるリスクを高めていると、ウォール街のエコノミストで「ドクター・ドゥーム(破滅博士)」と呼ばれるヌリエル・ルービニ(Nouriel Roubini)が述べている。 経済学者として名高く、辛辣でしばしば悲観的な予測で知られるルービニは、トランプが2期目の大統領に就任すると、経済にとって厳しい環境が待っていると予想している。 その理由は、トランプが提案している政策が「スタグフレーション(経済の停滞とインフレが同時に発生する状況)」を引き起こす可能性があるからだ。そうなると景気後退よりもさらに悪い状況だと言う経済専門家もいる。そのようなシナリオでは、経済は成長の低迷、物価の高騰、高金利、失業率の上昇といった問題に直面することになる。 ルービニは、トランプが計画する中国製品への高い関税、減税、「厳格」な移民制限の導入、さらにアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を一部損なう可能性のある政策に言及した。 「もしそうしたスタグフレーション的な政策が実行されれば、インフレ率は上昇し、経済成長は鈍化し、国債利回りは上昇するだろう。というのも持続不可能な財政赤字がインフレを悪化させ、さらなる実質金利の上昇を招くからだ」とルービニは2024年11月12日に公開されたブルームバーグとのインタビューで述べている。 「これは経済成長を阻害する。国債利回りが5%を超えると、株価が調整され、経済に悪影響を及ぼすことになる」 他の専門家も、トランプの政策の一部がインフレと金利の上昇につながる可能性があると警告しており、特に関税計画は大きな批判を浴びている。トランプ政権の1期目に関税を導入した際には、インフレ率が大きく上昇することはなかった。しかし今回は、中国だけでなく世界中の国々を対象とする関税を提案しているため、その影響がどうなるのかは予測できない。 トランプは、自身の政策が物価上昇を引き起こすという考えに反論してきた。大統領再選にを目指して活動していた8月には、自身の政策でインフレを抑えると誓った。選挙の1週間前には、共和党全国委員会のテイラー・ロジャース(Taylor Rogers)報道官が「トランプは食料品などの価格を下げるために、再び減税を行い、アメリカのエネルギーを解放する」と声明で述べていた。 しかし、近年スタグフレーションの危機を警告してきたルービニは、トランプの大統領任期中にそのリスクが高まると主張している。トランプが再選される前、ルービニは関税のコストが消費者に転嫁される可能性があること、また移民の制限が経済成長の主要な原動力を削ぐ可能性があることを指摘していた。 トランプがすべての提案を実行すると、今後10年間で連邦債務残高が約10兆ドル(約1550兆円)増加する可能性が高いとルービニは推計している。 政策金利に関しては「利下げ幅を減らす必要があるだろう。そして最終的にFRBは利下げを早めに終了するかもしれない」とルービニは述べ、スタグフレーションが発生した場合には、FRBが利上げに踏み切る可能性さえあると付け加えた。 「そうなれば、FRBとトランプ政権は衝突することになるだろう」
Jennifer Sor