中国恒大集団に清算命令 このままでは政争になる可能性も
数量政策学者の高橋洋一と外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。香港の高裁から清算命令を受けた中国恒大集団について解説した。 【写真】中国恒大集団のビルの企業ロゴ看板
経営危機の中国不動産開発大手・中国恒大集団に精算命令
香港の高等法院(高裁)は1月29日、経営再建中の中国不動産開発大手・中国恒大集団に対して精算命令を出した。販売低迷や資金繰りに苦しむ中国不動産業界への悪影響は必至で、停滞する景気への打撃が予想される。 飯田)どの程度の効力があるのでしょうか? 高橋)バランスシートを見ると、3年ぐらい前から債務超過でしたので、本当はそのときに対応するのが普通です。しかし、おそらく申し立てても、中国の場合は司法がこのような対応をしないのです。社会主義の制度の違いです。通常の先進国なら、申し立てを受けると債権者の利益を害するため、すぐに受けるのです。それをようやく3年遅れで行ったのだと思いますが、恒大集団の取り引きはもうできません。取り引きしたら自分のお金を取られるのは間違いないので、どこも掛取引をしなくなると思います。
どこも恒大集団とその関連会社との取り引きをしなくなる
高橋)こういうことを外へ知らせる意味はあるのです。ただし、これに類する話はたくさんあります。そちらはどうするのでしょうか。 飯田)恒大集団だけでなく、他にもいろいろありますよね。 高橋)これから精算処理をするので、本当の苦しみはここから始まります。日本(のバブル期)もそうでしたし、どこの国も同じです。いままでは裁判所が認定しなかったため、何もできなかったのです。「恒大集団と取り引きを続けても大丈夫なのではないか」と言う人もいましたが、これだけ明らかになってしまったら、少なくとも恒大集団とその関連会社との取り引きはできませんよね。そう考えれば意味のあることです。しかし、これから本当の清算手続きに入ると殺し合いになるかも知れません。 飯田)誰がどのくらい損を被るかという話になるのですか? 高橋)裁判所が入り、公平に……プロラタ方式と言うのですが、債権の金額に応じて比例的に損失を被るという原則はあります。