遊ぶだけじゃない! 防災などの社会課題をゲームでクリア
ゲーム産業の世界的な市場規模はおよそ30兆円といわれ、ここ4年間でおよそ2倍に伸びています。ゲーム産業が盛り上がる中、ただ楽しむだけではなく“社会の課題解決”を目的としたゲームも誕生しています。 災害発生時に声で避難を呼びかけることを想定した『さけべ!!!』というゲームは、より多くの人に災害の危機を伝えて無事に避難させるもので、一定の大きさと高さの声が求められ、避難させた人の数と速さを競います。マイクに向かって「津波だ!逃げて!」などと避難を呼びかけると、画面上の人物が消えていきます。 このゲームを開発したチームのリーダーは、東京大学大学院の犬田悠斗さんです。過去の災害避難に関するデータなどから、被害者を減らすことができる身近で最も効果的な方法が「声かけ」だと考えたそうです。犬田さんは「防災の中で何が一番重要かと考えた時、やはり声かけを行いながら避難することが一番、人を救うことで重要だと思い、このゲームを開発した。災害時に声かけする人が少ないということと、適切な声かけを分かっている人が少ないので、疑似的に体験してもらう必要があると考えた」と話します。 今後、誰でも無償でゲームが体験できるよう開発を進めていて、学校の避難訓練などでの活用を目指していくということです。 また、避難所をテーマにしたカードゲーム『ソナエタ』も開発されています。 避難所で想定されるトラブルに対し、さまざまなアイテムが描かれたカードの中から1枚を選び、それぞれが出したアイテムの中から最も適切なものを決めるというゲームです。このゲームを開発した藤原裕也さんは、意見を出し合うことによって避難所での生活について考えるきっかけとなり、どのような防災グッズが自分にとって必要か知ってほしいといいます。藤原さんは「災害に対する備蓄の重要度を知ってもらいたくて開発した。避難所生活をこのゲームで疑似体験することによって、こんなものが必要なんだと気付くきっかけになってほしい」と話しています。 藤原さんが学生時代に生み出した『ソナエタ』は現在、就職先の防災関連企業で開発が続けられていて、2025年2月には製品化し、学校への配布や防災イベントなどでの展開を予定しているということです。