団塊の世代に続き「しらけ世代」「新人類世代」「バブル世代」が高齢者市場に参入…令和は高齢者マーケティングの〈黄金期〉と言えるワケ
平成中期の失敗から、高齢者はマーケティングの対象外とされたも同然の扱いでした。しかし、これから「高齢者マーケティング」が最も過熱する時期に突入すると、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを務めた経験もあるマーケティングアナリストの原田曜平氏は指摘します。そこで本稿では、原田氏による著書『「シニア」でくくるな! "壁"は年齢ではなくデジタル』(日経BP)から一部抜粋して、今後20年間に起こると予測される、高齢者マーケティングの“黄金期”について解説します。
実は金を使いまくる高齢者
高齢者消費のインパクトを見ておきたい。いかに総人口に対する割合が大きくても、彼ら、彼女らが消費をしてくれなければ、企業のターゲットにはなり得ない。 だが、総務省が実施した2023年家計調査によると、60代以上の消費支出の割合は既に約50%に達している。区分が60~69歳、70歳以上となっているため、65歳以上という高齢者の定義とは若干ずれるが、大雑把には合致していると考えて差し支えはないだろう。 すなわち、単に人口割合が多いだけでなく、消費割合でも高齢者は主要プレーヤーに躍り出ているのが実態だ。 また、年間の収入は50~59歳を境に減少傾向にあるが、貯蓄がそれを補う点も消費を考える上でメリットとなる。60歳以上の平均貯蓄額は、50~59歳の実に約1.4倍となっている。 消費の財源は、年収に加えて貯蓄からの切り崩しが想定され、年収減少のデメリットを補完できる可能性は十分にある。 加えて、近年の傾向として高齢者消費の追い風となるのが、65歳以上の就業者が増加していることだ。近年、話題となった「老後2000万円問題」や「人生100年時代」など、国が喧伝(けんでん)するスローガンに踊らされている感もあるが、現実として家計を補う観点から、もはや高齢になっても仕事を続けるのが、当たり前のライフスタイルになりつつある。 実際、内閣府の調査では、65~69歳の半数、70~74歳の3割強が働き続ける選択をしている。 今後も就業増によって高齢者の年間収入が増加し、現在より消費支出が活発化することも予想されるのだ。
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