就寝中に「火災」に気づかず死亡…高齢の死者「8割が逃げ遅れ」という「深刻実態」
2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。 【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」 しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
住宅火災の犠牲者「7割が高齢者」
住宅火災で犠牲になるのは、7割が高齢者だ。 早稲田大学の長谷見雄二名誉教授(建築防災)は「平時の被害の傾向は、地震などの災害時には、より深刻に現われる」と警鐘を鳴らす。 総務省消防庁の発表(概数)によると、2022年中の全国の住宅火災発生件数は1万1017件。住宅火災における死者数(放火自殺者等を除く)は922人、そのうち65歳以上の高齢者は692人で75%を占めた。 住宅火災における死者数は増減はあるものの20年とほぼ同数だが、高齢者死者数の割合は高齢化や高齢単身世帯の増加などに伴って20年前の2002年の52.9%から上昇傾向が続いている。
発生件数は減少しているが…
住宅火災の発生件数は、住宅用火災警報器の設置義務化以降、減少している。 住宅用火災警報器は2011年に消防法により既存住宅を含めたすべての住宅で設置が完全義務化され、寝室や寝室のある階の階段の上部に設置しなければならないほか、自治体によって台所や居間などへの設置を求めているところもある。 総務省消防庁が検証をした結果、火災報知器を設置しない場合に比べて設置した場合は死者数と損害額は半減、焼損床面積は約6割減少したという。 住宅火災は就寝時間帯の被害が多く、異変に気が付いた時には煙を吸い込んで身体が動かずそのまま亡くなるという事態が起こりやすいため、早期発見や避難につながる火災警報器が効果的だ。 ただ、火災警報器は古くなると電子部分の寿命や電池切れなどで火災を感知しなくなることがあるため、いざという時に鳴るかどうかの定期的な点検が欠かせない。