無形遺産 誇り込め 蔵人が寒仕込み 一関・磐乃井酒造
29日の県南地方は、西高東低の冬型の気圧配置の影響で午後を中心に雪が降り続いた。花巻市で最高気温が氷点下0・6度と今季初の真冬日となったのをはじめ、一関2・8度、江刺1・2度、北上0・1度(いずれも盛岡地方気象台調べ)と冷え込んだ。 寒さが厳しさを増す中、一関市花泉町涌津の磐乃井酒造(東海林明弘代表取締役)では寒仕込みが行われ、酒蔵はもろみのほのかな香りに包まれている。 寒い時期に仕込むことでもろみが低温でゆっくり発酵し、きめ細かく良質な味わいに仕上がる寒仕込み。同社では11月から新米を使った仕込みが始まり、醸造タンクを開けて乳白色のもろみの発酵具合を確認してはかい棒でかき混ぜ調整する作業が年末年始も続く。 2024年は物価高騰や若者の日本酒離れなど酒造業界にとって苦しい状況の中、今月5日には日本の伝統的酒造りが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に決まる明るい話題もあった。製造責任者で杜氏の佐藤竜矢専務取締役(39)は「無形文化遺産決定をきっかけに注目が集まる中、来年はより多くの人たちに日本酒の魅力を知ってもらえるよう酒造りに取り組みたい」と語った。 同社の寒仕込みは、25年1月中旬まで続けられる。