東大出の元官僚で元巨人党という横浜DeNAの異色新社長は何を目指す?
ーースタジアムの改装について聞かせてください。194万人動員で、ハマスタ定員の93パーセントが稼動したことになっています。もう限界ですか? 「楽しんでいただく、という意味では限界です、お客さんに申し訳ない気持ちです。スタジアムは40年前のままです。いろんな工夫をしていますが、物理的な制約も大きい。もっと快適に見たい、飲食、グッズを買いたいが、いつも混んでいて買えないというファンの方々の声もあります。公園内にありますので、行政の規制もあり、100点満点の回答は難しいかもしれませんが、その部分を解決して地域の活性化につながる新しいレガシーを横浜、神奈川のために残すのが、球団、球場を預かっている私たちの役割です」 ーー楽天のように段階的に改装をしていくのですか? 「わかりません。五輪もあります。経営者的には嬉しい話ですが、いろんな制約が出てきます。2020年に向けて、あらゆるパターンのタイムスケジュールを切っていますが、考えている以上に時間はありません」 ーースタジアムをTOBした際、新球場のイメージCGを見せていただきましたが。 「あくまでも理想の形を表したイメージで、あれを作るわけではありません。ただあのイメージは大切で、地域に開かれるコミュニティボールパークにしたいのです。横浜らしいモデルを作り、できるならば海外の方々にも見ていただきたい。東南アジア方面から横浜に来て、野球もスタジアムも素晴らしい、よし、自分たちもプロチームをつくろう、こういう街作りをしようと、参考になるようなモデルですね。大げさかもしれませんが、そういうものに世界中の人がエネルギーや富を使うようになると、世界全体の人類の進歩につながります。一回限りの人生を輝いたものに。それを目指しています」 ーーベイスターズが人類の進歩に? 壮大な構想ですが、横浜はカジノ法の成立に伴いIR誘致計画も練っていますから、そこと連携すれば可能かもしれないですね 「そうなんです。ビジネスの拠点としてのみなとみらい、横浜の西口の商業の拠点と、この地域には役割分担があり、私たちはこれまで役所の街だった関内という土地にエンターテインメントの空気を吹かせ、野球発祥の地にふさわしい公共の磁場を作りたいんです。横浜が世界に通じる魅力的なエリアになることに貢献できれば、こんなに嬉しいことはありません」 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)