「死ぬなと思った」グレート義太夫さんは人工透析中 怖い腎機能低下を早期発見する自己チェックリスト「透明の尿は要注意」
健康診断で気をつけたい「2つの数値」とは
ただし、慢性腎臓病の初期には自覚症状が少なく、症状に気づいた時には進行しているケースも珍しくない。 そこで健康診断の結果に着目する必要があるという。重要な指標となるのが「血清クレアチニン」と「eGFR(推算糸球体ろ過量)」だ。 クレアチニンは腎臓から排泄される老廃物のひとつで、腎機能が低下すると血液中の量が増加する。男性の基準値は「1.1未満」で、数値が上がるほど腎機能の低下が疑われる。「8.0」を超えると要透析と判断される。前出の義太夫さんは「受診した段階で血清クレアチニン値が『11.3』で、すぐに人工透析が始まった」という。 eGFRは、血清クレアチニン値、年齢、性別から計算される数値だ。「60.0以上」を基準値として下がるほど腎機能の低下を示す。「59.9以下」から段階的に腎機能低下が疑われ、「15.0未満」になると末期腎不全と診断される。 ただし、「基準値の範囲内であっても安心はできない」と前出・上月医師が警鐘を鳴らす。 「クレアチニン値はやせ型の高齢者は低く出る傾向があり、糖尿病患者のeGFRはよい数値となりがちで、ともに基準範囲内でも腎機能が低下しているケースがあります。 年に一度の健康診断の数値を毎年チェックして、これらの数値が2年以上連続して悪化していたら、腎機能の低下を疑ったほうがいい。日本腎臓学会の専門医がいるとベストですが、医療機関を受診して医師の指導を受けながら腎機能の維持・改善に努めましょう」
10項目でわかる「腎機能低下が疑われるチェックリスト」
※黒尾医師、上月医師への取材をもとに本誌作成。
自覚症状でチェック!
【1】腎機能が低下すると尿が凝縮できず、尿量や色などに異常が出たり、体内の水分量が調節できずむくみなどが生じる ●夜に2回以上トイレに起きる ●透明な尿が出る ●尿に泡立ちが目立つ ●身体にむくみが出る 【2】加齢による症状と勘違いしやすいが、腎機能の低下を示すことも ●歩くだけで息が切れる ●全身のだるさ、倦怠感がある 【3】生活習慣病患者はリスクが高い ●高血圧、糖尿病の持病がある 【4】先天的にネフロン数が少ない可能性がある ●出生時の体重が低かった
健康診断でチェック!
【1】数値が基準値内でも、毎年の健診で徐々に下がっている人は腎機能の低下に要注意 ●血清クレアチニン値が年々上がっている ●eGFR値が年々下がっている ※週刊ポスト2024年6月21日号