<社会インフラを行く!>みなとみらいに舞い降りた宇宙船「新港サークルウォーク」
歴史的建造物が立ち並ぶ横浜市の赤レンガパークに、ひと際目を引く楕円形の歩道橋「新港サークルウォーク」がある。夜間の照明に浮かび上がったその姿形は、港湾都市に降り立った宇宙船のようでもある。みなとみらいにて道に迷ったら、このサークルウォークに昇り、周囲360度を見渡すと方向感覚を取り戻すことが出来る。 主構は、斜材をX字に交差させた「ダブルワーレントラス」が採用され、橋長は225.5メートルに及ぶ。幅員は4.4メートルで、外側に張り出した歩行用の床版(しょうばん)は、「世界に類例がない構造」(日本橋梁建設協会)であるという。外装材を施さないことも、なぜか親しみを感じ、鋼構造むき出しの姿はコスト削減にも貢献している。計画・設計・製作・施工・維持管理における特色が評価され、1999年度の土木学会田中賞(作品部門)を受賞している。 4本の柱で支えられ、交差点の四つ角を結ぶという合理的な構造をしており、横浜ワールドポーターズや海外移住資料館などと接続。赤レンガ倉庫や港はもちろん、横浜ベイブリッジも眺望できるスポットであり、港湾都市としての歴史や発展の息吹を感じる場所として十分であろう。 (監修:吉川弘道・東京都市大学教授)