10歳でミャンマーから日本へ、乗り越えた言葉の壁 33歳俳優の転機になったスピルバーグ作品「ウソでしょ?マジかって」
歌手としての未来
役者と並んでソロシンガーとしても2020年にメジャーデビューしました。昨年、2枚目のアルバム『BAGGAGE』をリリースしたのですが、僕の中では歌手としての第1章が終わり、今は第2章に向けての旅が始まったという心境です。役者をやっているからこそ出てくるアイデアや歌詞もあります。気負わずに何気ない瞬間を曲にできるようになったら、それが僕にとっての第2章なのかなって。ライブも大好きなので、まだ行ったことのない場所でもやっていきたいですね。 ただ役者としても歌手としても、「自分さえ気持ちが良ければいい」という考えは嫌いです。なので、与えられたもの、求められているものの答えをチームの一員として見つけることを一番大切にしています。僕はどんな役柄でもパズルのピースの1つでしかないので、そこでの役割を理解することが作品にとって一番大切だと思っています。 そんな芝居と歌をミックスさせた『ミュージカルは最強です!2024』が、7月15日にLINE CUBE SHIBUYA(東京)で開催されます。昨年に続いて2回目で今年も歌あり、コントありのステージに出演します。コントをやってみたかったのですが、いざやってみると、演出通りにやることで精いっぱい。あらためて「笑いを取る難しさ」を実感しました。今年は、もっと振り切って挑戦してみたいです。 ミュージカルは芝居と歌の両方をできるやりがいもあるのですが、両方やったらできるという単純なものではないんです。本番が始まったら幕が降りるまで一気に走り抜けるドキドキ感、ワクワク感のある特別なものでずっと続けていきたいです。 共演者の(城田)優くんは、頼りがいのあるお兄ちゃんみたいな存在です。ご自身でも演出をやってらっしゃるので、「今、何を一番伝えなければいけないのか」を瞬時に感じ取れるクリエイティブなところがすごいなって思います。(唯月)ふうかちゃんは、ミュージカル『SPY×FAMILY』でも共演させてもらい、とっても芯が強くて真っすぐな印象を受けました。(中川)晃教さんは、役者としてもシンガーとしても大先輩です。晃教さんが歌うと、同じミュージカルソングでも僕たちとは全然違った世界が広がるんです。そんな共演者から影響を受ける部分も多いですけど、みなさん、誰もまねできない独自の世界を持っています。彼らを見ていると、僕も「自分にしかないものを見つけて磨き続けていきたい」と気が引き締まります。 何かの本で「オリジナリティーはものまねから始まる」って書いてあったのを思い出しました。確かにものまねから始まっても、自分を通して出てきたものは自分にしか出せないものになっていたら、「それで良いな」って。それが「自分らしさ」なのかは分かりませんけど、それを受け取った人が「森崎ウィンだ」と気付いてくれたらうれしいなって思います。 おかげさまで『レディ・プレイヤー1』から、忙しい毎日が続いています。ただ、オフになった時にやりたいことがたくさんあり過ぎて、何から手を付けたら良いのか分からなくて(笑)。今は自分のルーティンを作ろうと思っています。カメラ、ゴルフ、車、ドローン……。興味は尽きないですね。凝り性なので入り込むと、周りの声が聞こえなくなっちゃうんです。これからもいろんなものにアンテナを張って自分がやりたいことをどんどんインプットして没頭していきたいです。 □森崎ウィン(もりさき・うぃん) 1990年8月20日、ミャンマー生まれ。2008年、日本テレビ系ドラマ『学校じゃ教えられない!』で俳優デビュー。18年、映画「レディ・プレイヤー1」でハリウッドデビュー。ソロ歌手として20年、シングル『パレード』でメジャーデビュー。23年、大河ドラマ『どうする家康』で徳川秀忠役を演じた。
福嶋剛