乾燥注意報発令！ セルフスタンドでは「静電気除去シート」にタッチしよう！ 静電気でガソリンに引火しないよう給油の際はご注意を
数秒のタッチで給油中の火災を防ぐことができる
サービスを簡略化し、人件費を抑えることで低価格を実現しているセルフ式ガソリンスタンド。最初は勝手が分からず右往左往するかもしれませんが、慣れれば「こっちのほうがラク」と思う人も多いことでしょう。そんなセルフ式ガソリンスタンドに必ず設置されているのが、プラスチックに金属を混合させた「静電気除去シート」です。 【画像】給油時には必ず触れたい！「静電気除去シート」を見る（全5枚）
人間の身体は多かれ少なかれ電気を帯びている
周囲には利用者の注意を引くためビビッドなカラーが用いられ、さらに「必ず最初に触れて下さい」といった説明文が付随する。はたしてこれは何を目的とした装置なのか、そして触らないといったい何が起きるのか。 乾燥した冬にクルマを降りてドアを閉めようとノブに触れた瞬間、静電気で「バチッ！」となった経験を持つ人は意外と多いはず。クルマの運転中も衣類とシートの摩擦によって、人間の身体は多かれ少なかれ電気を帯びてしまう。 とくにポリエステルやナイロンの素材は電気を帯びやすい性質があり、何か（とくに金属）に触れることで一気に放電されるというわけだ。知ってのとおりガソリンは非常に引火性が強く、おまけに気化しやすいことでも知られている。 給油口から出てくる気化したガソリンに静電気の火花が飛んだりしたら、とんでもない悲惨な大事故になるのは改めて説明するまでもないだろう。それを防ぐアイテムが「静電気除去シート」なのだ。設置そのものが消防法で義務化されているわけではないが、計量器のメーカーが自主的に開発し全国へと普及していった。では正しい使い方を説明しよう。
めんどくさがらずに「タッチ」
触るのは「給油キャップを開ける前」で、手袋などを外し素手でというのも忘れずに。それからパネルを操作して油種や金額を選んで給油する。「ドアを素手で閉めれば放電できるのでは？」と思うかもしれないが、それだけで身体に帯びた静電気を完全に除去できるとは限らなく、静電気除去シートは専用に開発された材質を使っており確実性が高い。 また私たちにとって身近な存在すぎてつい忘れがちだが、ガソリンは－40℃でも気化し引火する、非常に危険な物質だ。そんなものを専門的な知識も資格もない一般ユーザーが扱うだけに、念には念を入れて十重二重の安全対策を講じるのは当然といっていい。 ちなみに近年では給油のノズルも除電できる設計になっており、いかに静電気の除去を大切に考えているかが理解できると思う。2024年12月18日には愛知県のセルフ式ガソリンスタンドで、静電気に起因する火災が発生したとの報道があったばかり。近隣は11月の下旬からまったく雨が降っておらず、空気が乾燥し火災の発生しやすい状況だったようだ。 同様の事故は過去に何度となく発生しており、決して対岸の火事と甘く考えてはいけない。自分や他人の生命まで巻き込むガソリンスタンドでの火災、数秒のタッチで防ぐことができるだけに面倒くさがる理由はないだろう。これからはますます空気が乾燥し火の用心が叫ばれる季節。セルフ式ガソリンスタンドでは「最初にタッチ」を忘れずに！
佐藤 圭（SATO Kei）
