観光客の人流をDXで可視化!おきなわ観光地域カルテが目指す「地域の稼ぐ力」
地域が知りたいのはどれくらいの人が来たか
さらに、沖縄県内全域1684地点を碁盤目のように区分けし、周遊ルートを細かく分析し、市町村ごとに来訪者の延べ滞在日数を知ることもできる。 坂本さんによると、「地域が知りたいのは、沖縄県全体に来ている人のうち、どのぐらいの人が自分の地域に滞在してくれたかで、それを可視化されたほうが具体的な施策の打ち手に繋がりやすい」とおきなわ観光地域カルテのメリットについて説明する。 一般的に宿泊施設などは、閑散期や繁忙期にあわせて価格が変動するオープン価格となっていて、観光カルテが蓄積したデータから需要を予測し、価格を上げるべきか、下げるべきかの判断材料としても活用できる。
カルテの使い方をレクチャー コンサルティングにも
沖縄観光コンベンションビューローでは、市町村の観光協会などに出向き、カルテの使い方のレクチャーやコンサルティングにも取り組んでいる。 2024年4月に行われた沖縄市でのミーティングでは、スポーツツーリズムがテーマとなった。 沖縄市観光物産振興協会 金城諭 事務局長: 一番大きな部分は、スポーツツーリズムです。沖縄市は、サッカーもバスケもホームタウンというところもありますので 沖縄市観光物産振興協会では、市内を本拠地とする琉球ゴールデンキングスやFC琉球のアウェー戦に出向き、沖縄市で開催される観戦チケット付きのホテルパックを案内している。 相手チームのブースターやサポーターに対し、沖縄で開催される試合への誘客につなげるのがねらいでこれまで成果が見えにくかったが、観光地域カルテを活用することで、今後プロモーションの成果を分析するのが狙いだ。 沖縄市観光物産振興協会 金城諭 事務局長: やっていることに対して成果が出ているのかということも判断できるし、それが成果として表れていなければ、どう変えていくかという分析のツールになります。データが見られるようになったというのは大きいです いっぽう、名護市観光協会では市の観光課と連携し、人流データを2025年度からスタートする第三次観光基本計画にも反映させたい考えだ。 名護市観光協会 比嘉重史 常務理事: 我々北部はやんばる全体でお客様がどう楽しんでいただけるか、受け入れ態勢をどう強化していくかが最重要課題ですので、それを含めての分析というのは必須です 沖縄観光コンベンションビューロー 国内事業部受入推進課 渡辺翔 主任: 皆さんでいいものにしていく活用事例を作っていくというようなことをやっていきたいです。具体的には、「プロ野球キャンプのときを分析したら、こういう示唆が得られましたよ」とか、「課題にされている『素通り観光』というものを実際に数値化して見てみたら、ここの部分は人は来ているんだけど、ここに関しては素通りかもしれないと示唆が得られました」とか 名護市観光協会の比嘉専務理事は、課題となっている「素通り観光」の解決に向け、データに基づいた施策を打ち出せる意義は大きいと感じている。