「完璧な女性」で批判が殺到 ! SNSで物議を醸すインフルエンサー、ナラ・スミスとは?
料理家兼モデル兼母親
しかしながら彼女が成功を収めたのは料理のおかげだ。2023年にTikTokでレシピの投稿を始めてから300万人以上のフォロワーを獲得した。きっかけは、アメリカで定番中の定番おやつを作ったことだった。「娘が今朝、私のところにやってきて、ピーナッツバターとジャムのサンドイッチを作ってとせがまれました」と、ASMRのようにゾクゾクする心地よい声で語る動画は1月11日にTikTokに投稿された。一見、ごく普通に見えてその実、パンもラズベリージャムもピーナッツバターも全部手作り。しかもそでにファーのついたガウンを着てボブを完璧に整え、お腹が大きい姿だった。 この動画に対し、さりげなく完璧な点を批判、こうしたライフスタイルが非現実的であることを指摘するコメントが寄せられた。「想像してみて。お母さんにサンドイッチをおねだりしたら、パンをこねはじめたなんて」、「朝、目覚めてサンドイッチが欲しかったら食べるまで3時間待たなくちゃいけない」、「次のステップは、ラズベリーと小麦の栽培」、ある母親は「子どもがなにか欲しがっている時、焦れて泣くまで3秒の猶予しかないわ」と書きこんだ。どんな批判的なコメントもなんのその、この動画は1860万回再生された。ナラ・スミスはヒットの方程式を見つけたのだった。こうして「全て最初から手作り」方式のレシピが増えていった。ラザニアではモッツァレラチーズを手作り、はたまた「妹が欲しがっていたのになかったから」という理由でチューインガムまで作ってしまう。
トラッドワイフ
ナラ・スミスのことを面白がり、彼女をネタにしたパロディがSNSで増殖中だ。その一方で彼女のライフスタイルを非難する人もいる。保守的かつジェンダー的な固定観念を美化していることへの批判だ。「ナラ・スミスが動画でやっていることはすべて、家父長制のもとで女性がやれと言われてきたことばかり」とあるTikTokユーザーは書いた。「誤解してほしくないのだけれど、私はナラ・スミスが大好きだし、彼女が料理するのは素晴らしいことだと思う。でも、同時に理解すべきなのは、彼女の動画の内容は"トラッドワイフ"であること。彼女のライフスタイルはほとんどの女性にとって非現実的。一家の母親がどうあるべきかということに細心の注意を払いながら作り上げたイメージなのだ」と@SaintJenniは動画で分析している。一方、ナラ・スミスは8月7日付の「GQ」誌の取材で、自分に対する批判にやんわりと触れている。「料理のアイデアであれ、子どもに作った料理であれ、私の声であれ、他の何であれ、私がコンテンツを提供しているのはみんなをインスパイアするため。誰もが好きなように使えばいいのです」