“神ドラフト”が話題も「中日」の不安材料は投手陣…カギを握る「元ドラ1右腕」は井上新体制で“覚醒”するか
井上監督もコンバート経験者
根尾に対し、井上監督は「フェニックス・リーグで7イニング以上を投げさせる」と明言していた。これはまだ一軍指揮官就任が決まる前のコメントで、密かに囁かれていた野手再転向を否定する意味合いも含まれていた。その狙いはスタミナアップや配球を学ぶのはもちろんだが、調子が良くなくても試合主導権を相手に渡さない「先発投手の役割」を体験させるためだった。 「8日の埼玉西武戦は6イニング5失点、22日の巨人戦では同じく6イニングを投げて2失点でした。数字上では、ボールカウント先行でストライクを取りに行った甘いボールを痛打された反省を巨人戦で活かせたようです」(名古屋在住記者) 山井大介二軍投手コーチ(46)は「投げているボールは良くなってきたけど、頭がピッチャーになっていなかった」と、根尾を評していた。このコメントを額面通りに受け止めれば、「一軍レベルの投手になるまで、まだ勉強しなければならないことはたくさんある」ということだが、複数の関係者の話を総合すると、伸び悩んでいる原因は「気持ちの問題」だという。 「気持ちのどこかで『ピッチャーでダメならバッティングで』の考えがあるんだと思う。入団1年目は内野手、2年目から外野練習に重点を置き、3年目は打撃面でも苦しみ、立浪和義前監督(55)が投手に専念させました。練習熱心な選手であるのは間違いないけど、コンバートの話は全て本人ではなく、周りが決めたもの。無意識のうちに逃げ道を作っているのではないか」(前出・チーム関係者) その“不本意なコンバート”による迷いを断ち切ってくれそうなのが、井上監督なのだ。 井上監督は17年間の現役生活で863安打、79本塁打、349打点を残したスラッガーだが、89年ドラフト会議で鹿児島商業高校から指名されたときは、「投手」だった。中日スカウトは打者として評価していたが、本人が「どうしても!」とこだわり、しばらくは投手で頑張っていた。しかし、プロ4年目のシーズン途中、当時の首脳陣からバッター転向を通達された。「野手から投手へのコンバート」は根尾と反対になるが、井上監督が打者として成功したのは、“投手への未練を断ち切った”からだという。 「バットを振るしかない。バットで結果を出さなければ、プロ野球の世界で生き残ることはできない。その覚悟でひたすら練習していました」(スポーツ紙記者) 根尾も練習量では負けていないが、「野手に未練がある」と思われている一例が背番号だ。現在の「7番」は明らかな野手番号であって、根尾自身から背番号変更を申し出てこないかと待っている者もいるそうだ。 「井上監督は二軍指揮官として根尾を見て来ましたが、細かい指導は投手担当のコーチたちに任せていた。でも、一軍監督になったことで、これからは遠慮なく、根尾に助言もできるようになります。同監督は去就がはっきりしないマルティネスについても、『ニューマネジャー(新監督)がどういう気持ちでいるのかと思っているかもしれない。こういう気持ちでこうだからねって伝えるのも仕事』と話し、近くいっしょに食事をする予定です」(前出・チーム関係者)