【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】ファイアバード 恋に身焦がす男性2人
映画の中ではいつも、見つめ合った瞬間に恋が生まれて、そこからめくるめく物語が展開する。でも現実世界では、無言で目を見つめ合う機会なんて、部下にお説教をする時ぐらい。 彼らの本心を分かりたいと、瞳のその奥を凝視するこちらの目線におびえる心に触れるばかり。そんな日常を繰り返すうち、うそを見抜けるようになり、次の展開が予測でき、一撃で仕留める言葉まで思い浮かぶ。これが現実。恋なんて幻想だ。 それなのに、映画館の暗闇は、幻想のはずの恋を再び私に信じさせる。美しい2人の男性が見つめ合った瞬間、恋が生まれた音が聞こえた。禁じられた恋に身も心も燃え上がらせる2人の思いを、心がどんどん受け入れ、愛することの尊さにクラクラする。 エストニア政府が同性婚を認めるきっかけにもなった、本当にあった恋物語。(桜坂劇場・下地久美子) ◇同劇場で3月2日から