被災した町に響く子どものかけ声 能登の春祭、地震前と違う形で開催
能登半島地震の被害を受けた石川県能登町宇出津（うしつ）で20日、例年行う「曳山（ひきやま）祭」に代わって、「ちょんこ山祭」が催された。町内外から大勢の人が集まり、曳山の前で木遣（きや）りを歌うなどして盛り上がった。 【写真】「ちょんこ山祭」で展示された曳山を前に「木遣り」を歌う子どもたち=2024年4月20日午後0時6分、石川県能登町宇出津、金居達朗撮影 夏に開催される「能登あばれ祭」で知られる同地区。例年、この時期には「曳山祭」として、地元の酒垂神社と白山神社の2基の曳山が町内を巡行していた。今年は地震で道路が損壊して曳山を引けないため、子ども用の小さい「ちょんこ山」2基が町を練り歩いた。子どもたちは木遣りを歌い、「チョーヤサー」「ハイハイト」とかけ声を響かせた。 近くに住む小田す江さん（95）は、子どもたちの声を聞いて自宅から飛び出してきた。「祭りはできん、と思っていた。今までとは違うけど、子どもたちの声が楽しそうで安心する」と話した。 祭りの実行委で、子どもたちに木遣りを教える南代喜郎さん（38）は、「地震が起きてから、子どもやお年寄りは色々なことを我慢してきた。地元の人たちの笑顔が見られてうれしい」と笑顔を見せた。（金居達朗）
朝日新聞社
