京都FGや八十二銀に注目、資本政策巡る目線は厳格化-地銀株主総会
(ブルームバーグ): 今月下旬に地方銀行も株主総会シーズンを迎える。長期的な取引関係を重視する地域密着型金融の特性を持つ地銀においても、政策保有株や株主資本利益率(ROE)などに対する国内外の投資家の目線は厳しさを増している。経営陣が説得力のある展望を示せるかが重要となる。
27日に開催予定の京都フィナンシャルグループ(FG)の総会では、土井伸宏社長に対する取締役選任の賛成率に注目が集まる。2022年は71%、23年は62%(いずれも当時は京都銀行頭取)と低迷した。堅調な業績にもかかわらず、賛成率が6割にまで落ち込んだ背景には巨額の政策保有株の存在がある。
同社が抱える政策株には、任天堂やニデックなど京都を代表する銘柄がリストに名を連ねる。22年5月に公表した方針に基づき、政策株削減に取り組んでいるが、昨年来の日本株の急上昇により時価ベースでの保有額は3月末で約1兆1100億円と1年前の9200億円から約2割増加。保有株式の評価益は9700億円に上り、足元の時価総額7800億円を上回る状態だ。
米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は政策株の多さなどを理由に、土井氏への取締役選任議案に反対を推奨。多額の政策株を持つ企業に対して機関投資家の姿勢は厳しくなっており、純資産比率で一定以上の政策株を保有する投資先企業トップの選任に反対する方針を掲げる運用会社も増えている。
ブルームバーグの取材に対して京都FGコーポレート・コミュニケーショングループの担当者は、機関投資家との対話の機会を増やしているとした上で「改善すべきところは改善し、当社の主張すべきところは主張し、お互いに理解を深めることで、より良い経営を実践していきたいと考えている」と電子メールでコメントした。
昨年の総会では英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズから特別配当と50億円の自社株買いを求める株主提案を受けたが、いずれも否決された。一方、京都FGは昨年11月に130億円の自社株買いを発表。前期(24年3月期)の総還元性向は92%と目標に掲げる50%以上を大幅に上回った。