<68年目の日本国憲法>憲法とはどのようなものなのか /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
日本国憲法と大日本帝国憲法の違い
形式的には明治憲法の改正として1947年に施行されたのが日本国憲法です。大きな変更点は、 (1)基本的人権の尊重 (2)国民主権 (3)平和主義 (4)三権分立の徹底 です。 基本的人権の尊重とは嫌な役割を無理やり強いられない、裁判以外での私的制裁は許さない。どんな危険思想でも考えるだけならば構わない、表現は自由で「○○首相はバカヤロー」と叫んでもいい、職業を自由に選んでOK、義務教育はタダだ、国は経済的に困り果てた人を見捨てない(生存権)、などです。 国民主権は国民自身が国会議員になり、それを選ぶのも国民で、それらが集う国会は最高機関で、そこでしか法律は作れないというものです。なお選挙権や立候補する権利は基本的人権でもあります。
「9条」をめぐる論争
平和主義は憲法9条が有名で、戦争へ加わる行為の放棄と軍隊を持たないという徹底的な内容となっています。 三権分立は欧州で基本的人権とともに憲法を構成する決定的な意味合いを持ちます。国会は最高機関ながら行政(トップは首相)、司法(裁判所)と相互にけん制し合って1者の独走を止めるねらいが込められています。 これらの多くは国民に浸透していて、嫌だという声はあまりありません。ただ9条に関しては大いに論争があります。軍隊を持たない国というのは非常に珍しく、言い換えると他国が持つ権利を欠いているわけで、そこは改正して「普通の国」になろうよという主張が1955年に結党し、一時期を除いて長らく政権の座にある自由民主党の党是でもあります。 日本は日米安全保障条約でアメリカに国防の多くを頼っています。確かにそうした国は稀で、情けないともいえます。それに対して9条を守ろうとする勢力(今日使う「護憲」とは主にここ)は9条が、軍の暴走で先の戦争に突っ込み、無残な結果になった反省に基づいているので守り抜かねばならないといいます。もっとも「平和主義」自体を否定する主要政党はありません。「戦争をしてはならない」は国連憲章の原則でもあります。