「日本人は劣等民族」以外にもあるジャーナリストの「問題発言」
拉致被害者を「死んでいる」
やはりテレビでのコメントが物議を醸したのは田原総一朗氏である。2009年4月25日の「朝まで生テレビ!」での次の発言だ。 「外務省も生きていないことは分かっているわけ」 背景と発言をもう少し丁寧に見てみよう。この日のテーマは「激論! 日本の安全保障と外交」。北朝鮮による拉致事件に触れたなかで、田原氏は次のように発言した。 「横田めぐみさんと有本恵子さんは生きている前提でやってるわけ。ところが、北朝鮮は繰り返し生きてないと言ってるわけ。で、外務省も生きていないことは分かっているわけ(後略)」 そして、その前提を崩すと、政治家たちから「コテンパンにやられる」といった解説も付け加えた。 この発言に対して北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)は5月11日、横田さんや有本さんの安否を巡り、テレビ番組で根拠のない発言をしたとして、田原氏とテレビ朝日社長に抗議文書を送付した。 「その後田原は謝罪したが、さらに有本の両親は7月『精神的苦痛を受けた』として、慰謝料1000万円の訴訟に踏み切る。すると田原は『(横田、有本両名が)死んでいると証言した外務省高官の録音テープを公開してもいい』と述べる」(同) 裁判では証拠とするテープの扱いも争点となったが、結局、田原氏が100万円を支払うことで決着した。 ここまでに見たジャーナリストの「問題発言」の共通点は、活字メディアではなくテレビ(青木氏の場合はネット動画)におけるものだということだ。さすがに自分で書く時にはもう少し慎重になるのだろうが、フィールドが異なると急にウカツさが増して、居酒屋で知り合いと喋っているノリが出てくるのかもしれない。 抗議側との討論、謝罪、賠償と問題発言の収拾方法はさまざま。今回の青木氏の場合はどのように収束するのだろうか。 デイリー新潮編集部
新潮社