キーワードは「シスターフッド」女性リーダーを繋ぐ新プロジェクト「Toget-HER」とは?
「声高に叫んでも対応が望めないばかりか、自分のキャリアまで脅かされるかも知れない」
浜田氏が指摘する点について、アンケートでは、興味深い回答が見られた。インクルーシブでない行動を報告しない理由のトップ3には、「報告する事により、行動が悪化するのではないかと感じた」15%を筆頭に、「報告するほど深刻とは感じなかった」14%と続き、「自分の訴えが真剣に受けとめられると思わなかった」11%という結果に。一方、「マイクロアグレッションを報告した場合、自分が所属する組織が適切な対応をとると確信している」と回答した人は、グローバル9%に対し、日本では4%という低い数字。これは、日本における、働く女性が抱える諦めの様相を呈しているともいえる。その要因として、「マイクロアグレッションを報告しても、キャリアの影響は生じないと感じている」の回答が、グローバル12%で、日本11%という結果。つまり、「職場のマイクロアグレッションを声高に叫んでも、適切な対応が望めないばかりか、自分のキャリアまで脅かすかも知れない」と、1人で思い悩んでいる日本女性がいる、という事実が判明した。 グローバル調査結果の主要項目には、「メンタルヘルスに関する偏見」「育児や介護の負担」「リモートと出社とのワークバランスの調整」、そして先述の「マイクロアグレッション」に加えて「ジェンダー平等」などがある。 そこで、セッションでは、企業の具体的な取り組みについて語られた。富士通では、「富士通トランスフォーメーション」略し、「フジトラ」を実施。「パソコンなどのハード機器の会社というイメージだと思いますが、ここ4~5年は、DXサービスに移行しています。自分の希望キャリアを自ら手を挙げてデザインできる人材システムを導入したところ、女性が経験する出産や育児などのステージによって、職場を選べるメリットが功を奏して、離職率が格段に下がりました」(山本役員) 一方、ポーラは、これまでのトップダウン型&長時間労働を脱して「マッチョな組織リーダーから、柔軟な競争型リーダーへ」を目指しているという。及川社長曰く、「女性管理職を、色眼鏡でジャッジしない組織作り」を実践。こういった大企業の取り組みに対し、「スタートアップエコシステム協会」藤本理事は、「スタートアップも大企業も、やる事は同じだと思います。但し、スタートアップで働く社員は、強い気迫を持っていないと会社が小さいので、潰れてしまう危険性を孕んでいます。そこで、女性1人1人にかかる負担が大きく、リーダーがもたらす影響力が大きいのも事実です」