問われた「通報体制」 米空軍兵の性的暴行事件
沖縄テレビ
米空軍兵の被告が一審で実刑判決が出た事件を巡っては、発生から発覚までおよそ半年間、県に全く情報が伝えられていなかったことが大きな問題となりました。県内の反発を受けて、政府も体制の見直しを迫られました。 今回の事件を巡って、クローズアップされたのが政府から県への「通報体制」でした。 事件が発生したのは去年12月。県警の捜査を経て、那覇地方検察庁がアメリカ空軍兵の被告を起訴したのは今年3月でした。しかし、県が把握したのは事件から半年がたった今年6月、被告の公判日程が公にされてからでした。 玉城知事「個人情報を守る観点から推測されるような情報は控えた上で、県民に注意喚起を呼び掛けることは出来たと思うんですよ。」 さらに問題は深刻に。発覚までの間、去年12月から今年5月までにアメリカ兵による女性への暴行事件がさらに5件あったことが明らかに。日米両政府の合意では在日アメリカ軍の関係する事件・事故に日本人が巻き込まれた場合、各地の防衛局を通じて県や市町村に通報するとされています。 しかし政府は「捜査当局の判断や被害者のプライバシーなどを踏まえての対応」という理由で県に知らせず、通報手続きが形骸化していることが浮き彫りになりました。 これに対し玉城知事は、適切な情報提供があれば防げた事件もあったのではと憤りを示しました。 玉城知事「アメリカ軍による事件事故が発生した場合には綱紀粛正を呼び掛けることなど要請も行う事が出来るので情報の周知徹底は非常に重要だ。」 県民の尊厳に関わる深刻な問題に玉城知事が上京し直接、政府に抗議したほか、各市町村の議会で抗議決議が可決されました。 県内の大きな反発に、政府は通報体制の見直しを迫られました。 林官房長官「捜査当局による事件処理が然るべく終了した後捜査当局から外務省に情報を伝達し、外務省から同情報の伝達を受けた防衛省が対象となる地方自治体に情報を伝達することになります。」 また県警も「アメリカ軍関係者による性犯罪事件を検挙や送検した際地検と相談の上県に情報を提供したい」と方針を変更しました。 未成年者が被害にあい、再発を防ぐための情報共有すらなされなかった今回の事件。判決を受けて玉城知事は「女性の人権や尊厳を蔑ろにする重大かつ悪質な事件は決して許すことは出来ない」「アメリカ軍と日米両政府に抗議するとともに新たなフォーラムなどを通じて実行性のある再発防止策を議論していく」しています。 また実刑判決を受けた被告が所属する嘉手納基地のニコラス・エバンス司令官は、「性的暴行は重大な犯罪であり被害者と家族に与えた損害に心を痛めています。」「裁判所が適切な判断をしたと信じている」とコメントしています。 県内21の女性団体でつくる県女性団体連絡協議会は相次ぐアメリカ兵による女性暴行事件に抗議する県民大会を22日に沖縄市民会館で開催する。
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