【菊花賞】新“栗毛の怪物”誕生、アーバンシックがラスト1冠!ルメールは重圧乗り越え連覇
<菊花賞>◇20日=京都◇G1◇芝3000メートル◇3歳牡牝◇出走18頭 栗毛の“怪物”が誕生だ! 2番人気アーバンシック(牡、武井)が、直線で後続を置き去りにし、クラシック最後の1冠を獲得した。 クリストフ・ルメール騎手(45)は、昨年ドゥレッツァに続いて史上4人目の連覇を達成。先週の秋華賞(チェルヴィニア)に続く2週連続のG1制覇にもなった。開業11年目の武井亮調教師(43)はG1初制覇。1番人気のダービー馬ダノンデサイル(牡、安田翔)は6着に敗れた。 ◇ ◇ ◇ 7日ぶりの笑顔は輝きを増していた。西日に映える栗毛の馬体を懸命に動かし、アーバンシックを勝利に導いた。単勝10倍以下が5頭もいた混戦の中、終わってみれば2馬身半差の快勝。ルメール騎手は両手を突き上げて、秋華賞に続くG1連勝を喜んだ。「とてもうれしいです。プレッシャーはあったけど、勝てて良かったね」。表彰式後には妻バーバラさん、娘と抱き合い、満面の笑みを浮かべた。 菊花賞連覇は42年ぶり史上4人目の偉業。大外17番枠からドゥレッツァを巧みに導いた昨年に続き、今年も“ルメールマジック”がさく裂した。直線入り口までで5回も先頭が入れ替わる難しい展開も、慌てず騒がず中団でリズム良く運んだ。「豊さん(武豊騎手)の後ろでいいポジションだった」。手応えなどから相手を判断し、向正面で動いたアドマイヤテラを目標に進出開始。直線では測ったように抜け出し、ファンから大きな歓声を浴びた。 これで菊花賞は4勝目。歴代1位武豊騎手の5勝に迫る“長距離マイスター”も、実は不安と緊張に包まれていた。今年の菊でアーバンシックに乗ることが決まったのは、今月上旬。出走予定馬に、前走騎乗馬が4頭いた中での選択だった。どの馬も能力を感じていただけに「今日は結構プレッシャーを感じていました。勝たないと…ってね」。 そんな重圧も相棒を信じることで払拭(ふっしょく)した。「アーバンシックは春からG1で活躍したし、この馬が強いと思って決めた。不安もあったけど、パドックで馬を見た時に勝つ自信が沸いてきました」。ゴール後に見せた笑顔は、安堵(あんど)の表情でもあった。 鞍上の信頼に応えたアーバンシックは、さらなるタイトル奪取へ挑む。今後は未定も、歴戦の古馬との対戦が待っている。ルメール騎手が「これからもG1で活躍できる」と高評価すると、武井師も「他の世代と戦っても負けないと思う」。栗毛のニュースターの挑戦は、まだ始まったばかりだ。【藤本真育】 ◆アーバンシック ▽父 スワーヴリチャード▽母 エッジースタイル(ハービンジャー)▽牡3▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 武井亮(美浦)▽生産者 ノーザンファーム▽戦績 7戦4勝▽総獲得賞金 3億5044万8000円▽主な勝ち鞍 24年セントライト記念(G2)▽馬名の由来 洗練された。母名より連想