「ベルばら」作者・池田理代子「自分の信念に忠実に生きようと思った」 24歳の時から変わらない思い
不朽の名作「ベルサイユのばら」が劇場版アニメとなって公開される。1972年から連載されたコミックスは累計発行部数2千万部を突破。半世紀を経てなお色褪せない「ベルばら」の魅力とは。AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。 【写真】完成披露試写会にも招待されたコスプレイヤー・MOMOさんのオスカルはこちら * * * 「ここでスペシャルゲストをお招きしたいと思います。原作者の池田理代子先生です!」 その瞬間、「えっ!」「わあ!」というどよめきと歓声が満席の会場を揺らした。 劇場アニメ「ベルサイユのばら」の完成披露試写会。壇上にサプライズゲストとしてあがった池田理代子(77)は感慨深げに語った。 「これを描いたのは私が24歳の時です。今日、映画を見せていただいて自分の思いが少しも変わっていない、自分の信念に忠実に生きようと思ったことが少しも変わっていないことに、自分なりに感動しています」 その言葉はまさに、この作品の魅力のすべてを表していた。 「ベルサイユのばら」。少女漫画に詳しくない人でも、その名前を聞いたことはあるだろう。18世紀、フランス革命に至る激動の時代を舞台に、ルイ16世と王妃マリー・アントワネット、彼女が愛したスウェーデンの伯爵フェルゼンなど歴史上の人物に加え、女性ながら男性として育てられた軍人オスカル、彼女を愛する幼なじみのアンドレという架空の人物たちの運命を編み込んだドラマチックな物語だ。 ■半世紀を経て完全新作 連載開始は1972年。その後、宝塚歌劇団によって舞台化され、テレビアニメも大ヒット。さらには日仏合作で、監督ジャック・ドゥミ×作曲家ミシェル・ルグラン×制作総指揮アニエス・ヴァルダという黄金トリオで実写映画化されるなど、時代を超えて愛されてきた。 そして半世紀を経たいま、完全新作の劇場アニメーションが完成した。ストーリーは原作に忠実でオスカル、アンドレ、マリー・アントワネット、フェルゼンの4人を中心に編まれている。少女漫画の王道をゆく可憐な絵柄に加えてポップでエモーショナルな楽曲も特徴的で、4人がそれぞれに心情を歌い上げるなど、どこか2.5次元ミュージカルの雰囲気もある。 「そう感じていただけたら大成功です」とニッコリするのは監督の吉村愛(45)だ。大阪府の出身で小学生のころコミックに触れ、その後はBSで放送される宝塚に夢中になった。 「ファンというかオタクなので(笑)、アニメ化できるのなら『なんでもいいから仕事がしたい!』と手を挙げました」