「染め」と「ぼかし」の違いは…髪の毛の専門家に聞いた【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】
【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】#1 白髪は年寄りくさい。髪の毛を工夫して少しでも若く見られたい--。その代表的な技術である「白髪染め」はすでに古代エジプト時代から存在していたといわれ、古今東西、多くの先人が創意工夫を繰り返してきた。 その逸話もさまざまで、日本では鎌倉時代の斎藤実盛(さいとう・さねもり)の話が有名だ。平氏の有力武将の一人だった実盛は、70歳を超えて源氏の源(木曽)義仲追討の戦いに参加。「最後まで若々しく戦いたい」と白髪染めをして出陣した。自軍総崩れの中、最後尾の守りを引き受け奮戦するも討ち死。義仲方が首実検のために首を洗ったところ、黒髪が白髪に変わり、義仲は幼い頃に命を助けてくれた恩人と知り、その死に涙したという話が伝えられている。 いまは実盛ほどの覚悟ではないにしろ、定年後も職場で少しでも長く戦うために髪の毛を工夫しているサラリーマンや経営者も多い。どんな方法があるのか。髪の毛の専門家に詳しく聞いた。 【Q】理髪店のメニューには「白髪染め」と「白髪ぼかし」がありますが、両者の違いについて教えてください 【A】一言では説明できないので表(写真)にまとめました。まず、医薬部外品と化粧品の違いを説明します。 医薬部外品は治療目的でなく、予防や衛生面の清潔を保つために厚労省が認可した有効成分が一定の濃度で配合されているものを言います。有効成分の範囲で効果・効能を表示できます。化粧品は、医薬部外品に比べて効果・効能を表示できる範囲が限定されています。 ヘアカラー製品は、ブリーチ、ヘアカラー、ヘアマニキュア、カラートリトメント等(カラーシャンプー、カラーリンスうを含む)、カラースプレー等に分類できます。 表の中段に両者の違いについて記載しました。ブリーチは有色毛を明るくする処理なので、白髪ぼかししかありません(製品ではなく手法)。その他のヘアカラー、ヘアマニキュア、カラートリトメント等は「白髪染め」「白髪ぼかし」の両方の製品が販売されています。白髪染めは黒系に染まる製品で、白髪ぼかしは灰色に染まる製品をさします。(つづく) (山内力/日本毛髪科学協会 特任研究員)