「ダメな選手は目に残らない」 プロ登竜門も重視…口酸っぱく教えたい“体の寄せ”
送球が逸れて来ても…できる限り体を寄せる「そこで頑張らないと」
グラブをはめた手だけで捕りに行かないためにも、「常にボールが来る正面に自分の体を入れる意識が大事」だと久慈さんは語る。「送球が逸れて来ても、できるだけ自分の体を寄せにいく。キャッチボールはそこで頑張らないと、というのが僕の中ではありますね」。それは守備において、どれだけ素早く打球の正面に入れるかという“身のこなし”にもつながる。 全国の逸材小学生が集まる“プロの登竜門”「NPB12球団ジュニアトーナメント」の選考でも、多くのジュニア監督が重視するのがキャッチボールだ。捕球・送球技術はもちろん、“身のこなし”の素早さがそこには表れるという。「キャッチボールが全てなんですよ。ダメな選手は目に残らないし、できている選手は『もう1回見てみよう』となります」と、指導者としても名伯楽の久慈さんは同意する。 キャッチボールの上手・下手は、その後の野球人生にも大きく関わるという。「中学生になってキャッチボールがきちんとできない選手は、絶対に試合に使ってもらえません。それを小学生のうちに指導者が口酸っぱく言えるかどうか。僕らの頃はキャッチボールだけで1時間ということもあったけれど、今の時代は短い時間の中で、目的をもってやらせることが大事です」と久慈氏。1球1球に意識をもって取り組む、今日の練習からでも取り入れられる名手のアドバイスだ。
高橋幸司 / Koji Takahashi