圧倒的なスケールはこうして作られた!リピーター続出の『マッドマックス:フュリオサ』を4つの“数字”で徹底解剖
世界中で大熱狂を巻き起こした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)でシャーリーズ・セロンが演じた最強の戦士フュリオサの、怒りの原点を描いた『マッドマックス:フュリオサ』(公開中)。5月31日に日本公開を迎え週末動員ランキングで見事初登場1位を獲得した本作は、すでに複数回リピート鑑賞するMADなファンが続出している。そこで本稿では、何度観ても楽しめる本作の魅力を、“数字”に着目しながら掘り下げていこう。 【写真を見る】アニャ・テイラー=ジョイが若き日のフュリオサに!ド迫力のMADワールドに熱狂 ■“240”日間の壮絶な撮影スケジュールで生みだされた圧倒的な世界観! フュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)が幼いころに“緑の地”からバイカー集団に連れ去られ、15年の時をかけて復讐していく様子が描かれる本作。子ども時代から女性へと移り変わるフュリオサの外見的、内面的成長を丁寧に描くにあたってかけられた撮影日数はなんと240日間(メインユニット109日、セカンド/アクションユニット131日)。ロケ撮影は156日間行われ、スタジオ撮影は84日間にも及んだ。 ロケ地にはオーストラリアのテリーヒルズやヘイ、カーネルなどが選ばれ、特に鉱山都市のブロークンヒルは「マッドマックス」サーガならではの荒れ果てた地を想起させる場所で、『マッドマックス2』(81)のメインロケ地にも使用された場所。フュリオサとディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)、イモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)らが激しくぶつかり合う壮大な復讐の物語を描くために用意されたロケ地の数々が、映画全体に独特の雰囲気を与えている。 ■“35”名の技術者が参加!最新テクノロジーを駆使した映像美 本作の撮影にはPanavision、ARRI、REDといった映画業界のカメラ関連大手3社が連携。カメラパッケージにはARRI Alexa 65システムを中心に、ARRI Alexa LF、RED、V-Raptor、RED Komodo、およびGoProなどが採用され、高次元での映像美が実現。メインとセカンドユニット合計で35名のカメラ技術者がフルタイムで参加したほか、10台のカメラトラックや8台のユーティリティビーグルなど、多数の機材が動員された。 成長したフュリオサが車両整備士としてシタデルで実力のみで成り上がり、復讐のための重要なポジションへとのぼり詰める“行くあてのない潜伏”のシーンでは、特殊なレンズやエッジアームを使用し、高度な走行シーンを撮影。このシーンでは車両に取り付けられたカメラによってダイナミックな映像が可能となり、一瞬たりとも目が離せない迫力のアクションシーンが生みだされている。 ■“200”名のエキストラと“200名”のスタントマンが命がけ! ガスタウンでの暴動シーンやディメンタス支配下でのシーンに出演したエキストラの数はおよそ200名。またバレットファームでフュリオサと警護隊長のジャックが物資を取引する場面では、149名のエキストラが出演。他にも多くのシーンで多数のエキストラが活躍し、CGでは得られないリアルな群衆シーンが実現した。 また、スタント部門では200名近い演者が投入され、スタントパフォーマーは最年少が18歳、最年長はなんと83歳。“行くあてのない潜伏”シーンでは78日間で197カットを撮影し、このシーンだけで52名のスタントパフォーマーが固有の人物を演じている。バイクや車両による激しいアクションなど、まさに命がけの実写スタントが数多く取り入れられており、彼ら一流スタントパフォーマーたちのおかげで迫力満点のシーンが誕生したといっても過言ではないだろう。 ■“145”台の車両が荒れ果てた地を駆け抜ける! そして「マッドマックス」サーガといえばなんといってもバイクや車!劇中には145台もの車両が登場し、ウォー・タンクやシックス・フットなど車型は35台、そしてバイク型は全部で110台。ジョージ・ミラー監督が「車両は人物を表している」と述べているように、それぞれの車両には独自の特徴が。例えばウォー・タンクはKenworth 900シリーズを改造したものであり、その外装にはステンレススチールとクローム仕様に。 一方、ディメンタス将軍のチャリオットはRotec R2800航空用エンジンをベースに作られたバイク部分とBMW R18を使用した“馬”部分から構成されているなど、規格外の発想から生み出されたMADな車両たちが、映画の魅力にブーストをかける。激しい追跡劇や戦闘シーンは、個性的なデザインと性能を持つ多彩な車両群のディテールからも目が離せない。 通常の字幕版に加え、日本語吹替え版やIMAX、4D、Dolby Cinema、そしてScreenXと、さまざまなフォーマットで上映されている『マッドマックス:フュリオサ』。劇場でそれぞれのフォーマットの違いを楽しみながら、細部までこだわり抜かれた世界観を何度も繰り返し堪能しよう! 文/久保田 和馬