会社は「声を上げた記者を守る」と示して 次官セクハラ受け女性記者議論
日本新聞労働組合連合は21日、女性集会を開催し、女性記者に対する財務省・福田淳一事務次官のセクハラ疑惑などを受け、セクハラの現状などについて議論した。28社の新聞社の記者ら53人が参加。取材先からのセクハラをテーマとした分散会では、女性記者から「今は社内で被害を相談したとしても、その先がどうなるかが不安な状態。会社は声を上げた記者は組織で守るという意思表示をしてほしい」と訴えた。
「なぜ、その場でも会社にも、セクハラ被害を言えないのか」
分散会は参加者がチームに分かれて、セクハラやワークライフバランスなどについて意見を交わす形で行われた。原則非公開で行われたが、一部は公開された。公開されたチームでは、社外や取材先から受けたセクハラについて、身近な事例でどのようなものがあったか、書き起こす作業から始まった。 「警察官に、性的被害を受けた被害者と容姿を比べられ、『君は大丈夫』と言われた」「取材者からマスク越しにキスをするよう強要された」「タクシーの中で手を握られたが、相手がおじいちゃんだったので、仕方ないなと思い、流した」 明らかにセクハラと思われる事例が次々と上げられた。 なぜセクハラを受けたと声が上げられないのか━━。参加者からは次のような声があがった。 「そのときはショックを受けるが、とにかく取材中はそれが終わるまで我慢するというか。押し殺している」「業務をまずは遂行しなければならない。書いて出さなきゃというのが、みんなの頭にあるから、いちいちひっかかってたら時間がかかる。また、セクハラをされている状況から、一刻も早く去りたいから、なかったように振舞うしか、身を守る方法がないんじゃないか」 また、社内の体制についても意見が及んだ。 「社内には言えないですよね。言うとモテ自慢か、とか言われてしまう。実際に後輩から相談受け、問題提起したことがあるが、『どうして私じゃないのっていうことだろ』と言われて、むかむかして終わってしまった」「セクハラを軽くいなしたほうがいい記者だと刷り込まれていた」「セクハラを受けた場合の対処法について、社員教育があったなら、これがそうなんだと思えただろうし、業界全体がだめだと言ってくれれば流したらだめなんだ、とわかる。でも社会人になって初めてそういう状況になると、スルーしかない」。 分散会では、財務次官にセクハラを受けたと社員が訴えた際、適切に対応できなかったテレビ朝日の事案は、テレビ朝日特有の問題ではなく、業界全体の問題だという声が大勢だった。