声優・直田姫奈がアーティストデビュー「役やキャラクターが私を守ってくれた。その鎧がはがれたとき、自分はどうなるんだろう」【インタビュー】
『その着せ替え人形は恋をする』の喜多川海夢役や『BanG Dream!』シリーズの桐ヶ谷透子役などを担当する声優・直田姫奈がアーティストデビュー。2024年4月17日(水)にデビュー曲「ラベンダー・ブルー」を配信リリースする。小さい頃からピアノを習い、学生時代にはYUIに憧れてギターを始めた彼女。常に音楽は身近にあったという彼女が「声優」「音楽」にかける思いとは。インタビューで筆者は、“作品の世界に浸ること”が大好きな彼女だからこそ伝えられるものがあると感じた。
私のなかで、役・キャラクターは鎧なんです
◆アーティストデビュー、おめでとうございます。デビューの相談がきたときは、どんなお気持ちでしたか? 自分がするとは思っていなかったので、すごくビックリしました。うれしいとかじゃなくて「本当……ですか? 誰かと間違えていませんか?」というのが正直な気持ちでしたね(笑)。それから自分の曲ができあがっていくなかで、「あぁ、デビューできるんだな」って少しずつ、ビックリからうれしいという気持ちに変わっていきました。 ◆アニメやゲームのコンテンツで音楽活動をすることもあったと思います。それでも自分名義のソロというは、ちょっと信じられなかった。 はい。客観的に見ても、自分がこの選択肢を選んでいるのが新鮮というか。新しい道に進んでいるなと感じています。 ◆ということは、例えばもっと早くに声がかかっていたら「ちょっと今は……」という気持ちになっていたかもしれない。 もっとビビッていたと思います。「自分にはちょっとそれは背負えないかも」と悩んでいたんじゃないかな。私、これまでの活動では、役に助けてもらっている部分がすごく大きかったんです。私のなかで、役・キャラクターは鎧なんですよ。 ◆鎧、でしょうか。 例えばステージに立つときに私だけだったら、めちゃくちゃ緊張して「笑えません」となるのですが、役が笑うなら、笑えるんです。そういうことができるんですよね。役が私を守ってくれました。その鎧がはがれたときに、自分はどうなるんだろう。特に自分名義でステージに立って歌うことは未知の世界です。それを乗り越えたらもうひとつ精神力が強くなるのかもしれません。 ◆今回アーティストデビューしようと思えたのも、自分の成長につながるかもしれないと感じたから。 そうですね。いろいろな仕事を経験させていただくなかで、やれることをやれば自分にいいものが返ってくると実感することが多かったんです。だから、今回のアーティストデビューでも得るものがあるんじゃないかなと。そういう気持ちの変化がありました。 ◆続いて直田さんの音楽のルーツについてお聞きします。小さい頃から音楽は好きでしたか? そうですね。幼稚園ぐらいからピアノをやっていました。母親がずっと教えてくれていたんです。家にピアノがあるのが当たり前だったので、音楽はわりと身近にあるものでした。ピアノは、中学生になるくらいまでは続けていましたね。その後に自分からやりたいと言って始めたのが、ギターでした。お年玉などでお金を貯めて買ったんです。すごくハマりましたね。常に楽器には触れてきた人生だった気がします。 ◆ピアノは続けようとは思わなかった? ピアノがあまり好きになれなかったんです。母親が教えてくれて、ある程度は弾けるようにはなりましたが、自分で進んでやっていなかったこともあってか、上達するのが遅くて。それに比べて自分からやりたいと言ったギターは、めっちゃ練習はするし、上達もどんどんしていきました。ピアノは30分するだけで疲れていたのに、ギターは3時間弾いていても疲れなくて。自分の気持ちでこんなにも上手になる・ならないが変わるんだなと、高校生ながらに思いましたね。 ◆ギターに憧れたきっかけは? YUIさんです。当時は自分の部屋でYUIさんのライブDVDを流しながらギターを弾くというのが、最高の遊びでした。まるでYUIさんになったかのような体験をするのがすごく楽しくて。私、結構こじれているんですよ(笑)。 ◆こじれている(笑)。人前でやってみようという気持ちにはならなかった? 全然。むしろ「見ていらん(見なくてもいいよ)」という気持ちでした。頭のなかではYUIさんのように、商店街のなかでろうそくを付けて演奏している想像はしていましたが……。本当に趣味として謳歌していたって感じです。 ◆そうやって家で弾くのが楽しかった。 そうなんですよね。私、世界に入り込むのがたぶん好きなんです。アニメとか漫画とか小説とかは、自分じゃない世界にどっぷりと浸かれるじゃないですか。自分でいろいろなことを考えて世界に浸るという行為が、私は大好きなんだと思います。 ◆そうしてずっと続けていたギター。事務所のプロフィール欄には特技として書かれていますね。 本当は書きたくないんです(笑)。特技なんておこがましくて言えないとは思っているのですが、他に書くこともないので……。ちょっと小声で「特技:ギター」と書いています。 ◆人前で弾く、披露するとなったときは、それなりのものをちゃんと届けたい。 お客さんは自分の時間をわざわざ使ってくれて、お金を払ってくれている訳ですから。自分のステージ・イベントに来てくれるというのがどれだけありがたいことなのか、仕事を重ねていくなかでより感じるようになりました。普通なことじゃないですからね。「この時間を使ってよかった。お金を払ってよかった」と思ってもらえる、もっと言えば、プラスアルファになるものを返していくのが、自分の仕事だと思っています。 ◆コンテンツのイベントなどに来てくださる方にも、見合う対価分、楽しんで帰ってもらいたい。 むしろ、お土産を持って帰ってほしいなと思っています。 ◆おもてなしの精神ですね。 日本人なので(笑)。おもてなししていきたいと思います。 ◆先ほどYUIさんに憧れてギターを始めたとおっしゃっていましたが、これまではどういうジャンルの音楽を聞いてきましたか? YUIさん一筋ではあったのですが、学生時代だとBUMP OF CHICKENさんやRADWIMPSさん、ONE OK ROCKさんなどの曲も聞いていましたね。あとはコレサワさんの曲もすごく好きで、よく聞いています。どちらかと言うと楽器を持っている方々に惹かれがちだったかな。アイドル系でハマったのはモーニング娘。さん。小学生の頃は見よう見まねで、「恋愛レボリューション21」を踊っていましたね!