声優・直田姫奈がアーティストデビュー「役やキャラクターが私を守ってくれた。その鎧がはがれたとき、自分はどうなるんだろう」【インタビュー】
声優も音楽も「世界に浸れるもの」
◆アーティストデビューに合わせて、この度、配信シングル「ラベンダー・ブルー」がリリースされます。最初に楽曲を聞いたときの印象を教えてください。 すごくかわいいポップな曲で、楽器も聞きやすくて私の好みに近いと感じました。一方で歌詞は、めちゃくちゃ失恋をしている曲でして。楽曲だけを聞いたときと歌詞を見たときで、印象がガラッと変わりました。まっさらな状態で聞いたあとは、歌詞を握り締めて聞いてほしいです。 ◆そうすると、考察がはかどる。 めちゃくちゃはかどるはずです。音は同じでも、漢字が異なると意味が違う日本語ってあるじゃないですか。歌詞ではその言葉をくっつけて、またさらに違う意味ができているんです。もう私は、歌詞の意味が気になって仕方ありませんでした。歌だけど物語のようにも取れる曲なので、それぞれ思いをはせながら聞いてほしいです。 ◆ソロアーティストとしての初のレコーディングはいかがでしたか? とても難しかったです。これまでのキャラクターソングでは「この子だったらしゃくるな」とか、何となく想像しながら歌えたのですが、直田だったらどうするのかというのがイメージできなくて。それは何も思い浮かばないということではなく、表現の仕方が何パターンか出てきたときに、直田姫奈ならどれを選ぶのかというのが、分からなかったんです。自分をどう見せたいのか考えたことがあまりなかったので、頭を抱えましたね。 ◆例えばA・B・Cという3つの表現方法があったときキャラクターソングなら「この子はBを選ぶ」という考え方で進めるけど、自分だったら自分で決めないといけない。 そうなんです! 今までやってきたことと全然違う考えをめぐらさないといけず、その時点でひとつ学びがありました。 ◆その他、学びがあったことは? マイクを通さずに家で練習していた時は「これぐらいでも聞こえるし、表現的にも声量はそれほどいらないのかな」と思っていたのですが、実際は足りないということがあって。とはいえ、声量を減らさずに求めている表現を出すために自分の体をどう使えばいいのか、ということを考えました。今回は一度レコーディングをしてみて、数日後にもう一度レコーディングするという形で進行したんです。そのおかげで、実際はどういうふうに聞こえるのかが分かって、調整することもできました。他のオリジナル曲にも応用できましたね。 ◆オリジナル曲、他にもあるんですね! それは5月4日に開催される「1st LIVE - Sings -」でも披露される予定? はい。まだ「ラベンダー・ブルー」しか世には出ていませんが、1stライブはぜんぶオリジナル曲で構成する予定です。恐らくみなさんは、多くを知らない状態でライブに来ていただくことになるんじゃないかな。 ◆なんと! たぶん、みなさんが想像しているよりも新曲は多いです。「えっ、そんなにやるんだ!」ってなるかも。もしかしたら「どういうノリが合っているの?」という状態が終始続くかもしれませんが、そんなライブそうそう味わえないだろうから、一度ぐらいは味わってみてもいいんじゃないでしょうか!? ◆それは、確かに。どんな曲が次は来るんだろうという楽しみ方もあるかもしれません。 「この曲が来たから、そろそろ終わりなんじゃない?」みたいな感じも、たぶんないまま終わっていくと思います。時間を忘れて楽しんでほしいですね。 ◆歌う側としてはプレッシャーもあるのでは? はい! あっ、本番当日も150%緊張していると思います。本当に、どうなるんでしょう。自分でも分かりません。逃げ出さないようにだけ、気をつけようと思います(笑)。 ◆他のオリジナルソングはどんな方向性の曲なのか、ヒントを教えてください! ライブに向けて制作していただいた曲なので、基本的にはライブで盛り上がる楽曲ばかりです。すごいバラードとかそういうのはないかも。個性豊かな楽曲たちが集まっていますが、どれも詞にも注目してほしいです。あー! 本当は早く語りたいんですよ! 例えば曲同士がちょっと関係しているものとか……。物語になっているんですよ。一曲、一曲が分厚い文庫本の分量と思えるくらい、壮大なものが詰まっています。まずはライブに来て、どういう曲なのか体感してみてほしいですね。 ◆そこまで歌詞を考察して大事にしてくれていると、作詞された方もうれしいと思います。 そういう曲がもともと大好きということもあるので。みなさんにもそういう曲のよさを知ってもらいたいです。自分の好きなものを知ってもらえることは、やっぱりうれしいので。 ◆直田さんは特に詞を大切にしていきたいアーティストなのかもしれないですね。 それ、めっちゃいいですね。次からそう言っていこうかな(笑)。私は詞を大切にしていくアーティストになりたいと思います。 ◆貴重なお話ありがとうございました。最後に、直田さんにとって「声優」「音楽」とはどのようなものですか? 声優も音楽も「世界に浸れるもの」だと思っています。それがなかったら、人生の大半は何で楽しんでいたのか分からないくらい、自分にとって大好きなものですね。 ◆「世界に浸る」というのが直田さんのひとつのキーワードになっていそうです。 言っちゃえば、「妄想」なんですけど(笑)。でも、それが楽しいですし、自分にとっては大切なことなのかなと思っています! <PROFILE> 直田姫奈 ●すぐた・ひな…4月17日生まれ。兵庫県出身。O型。俳協所属。主な出演作は『その着せ替え人形は恋をする』喜多川海夢役、『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』アゲぴぴ役、『ユニコーンオーバーロード』スカーレット役など。『BanG Dream!』プロジェクトのバンドユニット「Morfonica」では桐ヶ谷透子役としてギターを担当。第17回声優アワードで、新人声優賞を受賞している。 ●text/M.TOKU
M.TOKU