過酷な介護職「基本給は24万円」だが…「超高齢国家日本」における過酷な現実
増えていく社会保障費と、減っていく年金。現役世代も高齢者も苦しい生活を余儀なくされています。高齢化に伴い気になるのが「介護」事情。厚生労働省『社会保障の給付と負担の現状』、厚生労働省『第8期 介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』などとともに見ていきましょう。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
厚生年金、15年で「25,000円減少」だが…
令和6年度の日本の予算は112.7兆円となることが発表されています。令和5年度の「114.4兆円」まで11年連続増加を続けていましたが、若干減少することとなりました。とはいえ、令和5年度の予備費が4,600億円あり、それが活用されていくとも明らかにされています。 予算は全国民に還元されていってほしいところですが、このうち33.5%は社会保障により占められています。 厚生労働省『社会保障の給付と負担の現状』より2023年度の社会保障給付費 134.3兆円の内訳を見ていくと、「年金」44.8%(60.1兆円)、「医療」41.6兆円(31.0%)、「福祉その他」24.2%(32.5兆円)。「福祉その他」の内訳も「介護」13.5兆円、「こども・子育て」10.0兆円ですから、いかに高齢化が進み、社会保障費がそこへ割かれているのかよくわかります。 社会保障費は増大していますが、年金受給額は引き下げが進められています。1996年における平均年金受給額は、国民年金が5万328円、厚生年金が17万825円でした。ところが最新の調査によると、2021年には国民年金が5万6,000円、厚生年金が14万6,000円となっています。 15年間で国民年金は微増となっていますが、厚生年金は約25,000円も減少している事実。驚く方も多いのではないでしょうか。今後も高齢化は進んでいく見込みなので、引き下げは続いていくでしょう。 さて高齢者の増加に伴い、増員の必要性を叫ばれているのが介護職員です。 厚生労働省が公表した『第8期 介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』によると、2023年度には約233万人、2025年度には約243万人、2040年度には約280万人の介護職員が必要であると推計されています。 ところが、2021年度の介護職員数は214.9万人(前年度から3万人増加)。介護の仕事はそのキツさに比した給与水準に問題を抱えているのが現状です。 国は介護人材確保に向け、「介護の仕事の魅力発信」をおこなっていますが、その効果はいかに。 “令和2年度において、公募により選定された事業実施団体により、福祉・介護のしごとの魅力を伝え、福祉・介護に対して抱いているイメージを向上させるための「体験型・参加型イベント」の開催や「世代横断的な広報活動」の展開、「若年層、子育てを終えた層、アクティブシニア層、介護事業者に対するターゲット別のアプローチ」を実施し、福祉・介護分野への多様な人材の参入促進を目的とした「介護のしごと魅力発信等事業」を行っています。”(厚生労働省『介護人材確保に向けた取り組み』より)